香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
[イベント] スケジュール:2025/04/19
更新日:2025/03/23
【日時】
2025年4月19日(土)
観望会前にエアードームプラネタリウムを入れ替え制で2回行います。
希望者は各回開始前にご来場下さい。
17時50分:1回目投影
18時20分:2回目投影
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18時30分:天体観望会受付開始
18時50分:オリエンテーション
19時00分:観望会開始
20時30分:終了予定
*夜間天体観望会のみに参加の方は18時30分から受付開始です*
【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度
【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【募集組数】30組(80名程度)
【オリエンテーションの内容】
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明
【雨天・曇天時】
雨天・曇天時は別プログラムにて開催致します。
別プログラムの例
・館内ナイトツアー
・望遠鏡を使った実験やお話など
・4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」による星空ツアー
参加お申し込み方法
☆★今回の天体観望会でのオススメ天体リスト
惑星:火星,木星
星座:ふたご座,かに座,しし座,おとめ座
一等星:ベテルギウス,プロキオン,シリウス,ポルックス,レグルス,スピカ
星の並び:冬の大三角,北斗七星,春の大曲線
星雲:しし座の系外星雲(M65,M66,NGC3628),おおぐま座の系外星雲(M51,M81,M82)
星団:かに座の散開星団プレセペ(M44)
二重星:ミザール,カストル
本年第2回目の天体観望会にて,ぜひ観察しておきたいオススメの天体を天体を紹介します。
当観望会は19時スタート(オリエンテーションは18時50分)です。観望会が始まる時刻では,空にはまだ明るさが残っている可能性があります。空がまだ十分に暗くなっていない頃でも,西寄りの空に目を向けると,非常に明るく輝く星が一つ目に付くと思います。その星は太陽系最大の惑星である木星。
木星の大きさは地球のおよそ11倍。そして10時間ほどで一回転(自転)します。地球は24時間で一回転。ということは,地球の11倍の巨大な惑星が地球の2倍以上の速さで自転しているということ。そのため,生じた遠心力で赤道付近が膨らんでいるんです。良く観察してみてください。木星は左右(南北)方向よりも上下(東西)方向の方に膨らんで,やや楕円形に見えてるはずです。
木星表面を観察してみると,木星本体には数本の縞模様が見えるはずです。木星の表面は,アンモニアやメタンでできた雲で覆われています。木星面の模様はすべてこの雲が作り出している模様です。木星は,とても速いスピードで自転しているため,東西方向に強い力が生じ,同方向に流れる風が発達します。この流れの方向に雲が並ぶため縞模様として見られるのです。ちなみに,木星には,地球と違って雲のない晴れている場所は存在していません。一日中天気は曇り空なんですね。
木星の表面には大赤斑(だいせきはん)と呼ばれる赤っぽい楕円形の模様があり,大赤斑が地球側に向いているときは,天体望遠鏡で観察することができます。当夜も時間が経過するにつれて,木星の端から見えるようになり,やがて(20時半頃)木星の中央近くに見えるようになります。この大赤斑の大きさは地球がすっぽりと入ってしまうほどのサイズです。
下は木星を倍率を上げてズームアップした図(実際に望遠鏡を覗いてスケッチしたもの)です。
大赤斑(図中,赤色矢印の先)は小さくコントラスト淡く,望遠鏡の高倍率で観察してもわかりにくいかもしれません。それでも,地球よりも大きいんだと考えると,木星本体の大きさがイメージできるでしょうか。じっくりと観察して確かめてみてください。
また,木星の上下(東西)には4つの明るい小さな星が見えているはずです。この4つの星はガリレオ衛星とよばれ,木星の数ある衛星の中でも特に大きくて明るい衛星です。
当夜,木星本体の上に1個見えている衛星はエウロパ。下に3個見えているのが,本体に近い順にイオ,ガニメデ,カリスト。(下図参照:望遠鏡によって,上下・左右が逆に見えている場合があります)エウロパは内部に膨大な量の海水があるといわれています。ガニメデは衛星でありながら,太陽系第一惑星である水星よりも大きな天体です。
その木星もじわじわと西空に傾き,そろそろ観望シーズンは終了になってきます。次回の観望会では,西側の山の稜線に隠れてしまうかもしれないため,本年,博物館にて観察できるのは今回が最終になる可能性もあります。
さて,当夜の星空ではもう一つの惑星が見えています。地球の一つ外側を回っている火星です。
火星は,お隣の惑星でありながら観察しやすい惑星ではありません。火星は2年2ヶ月ごとに地球に接近します。すなわち,その接近したときに観察するのが王道となります。
前回の最接近は今年の1月25日で,既に3ヶ月ほどが経過しています。本体の大きさが地球の半分と小さいこともあり,地球との距離が離れてしまうと倍率を上げてもそれほど大きくは見えません。当夜見える火星も,通常の恒星よりは大きいねというレベルです。
次回の火星接近は,2027年2月20日。それまで,しばらく見納めとなるので,見映えは良くなくてもしっかりと観察しておきたいといったところでしょうか。
惑星を観察したところで,星空全体の方に目を向けてみましょう。
20時近くになると空は暗くなってきて,たくさんの星々が見えてきていることだと思われます。まずは,身体を南方向に向けて,上空を見上げてみてください。すると下図のような星空が見えるはずです。
この円形の星図には方位を記入してあります。その方位を下にすると星座早見盤のように扱うことができます。
(注)一等星を紫色の文字で表示していますが,北極星,ふたご座のカストルは一等星ではありません。
空全体を見渡してみると,西側半分の空には一等星がたくさん。これらは冬の星座の一等星たちです。一方東側半分には,しし座の一等星レグルス,おとめ座の一等星スピカ,うしかい座の一等星アークトゥルスが見えています。このしし座,おとめ座,うしかい座等は春の星座たち。ちょうど,『冬の星座から春の星座への切り替わっている途中』といえる星空ですね。当観望会中,時間が経過するにつれて,冬の星座たちは西に傾き,春の星座たちは高度を上げて主役の位置にやってきます。
冬の天体もまだ見ることができるし春の天体も観察できる,そんな観望会です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
西空に見えるオリオン座のベテルギウス,おおいぬ座のシリウス,こいぬ座のプロキオンの3星を結んでできる冬の大三角が,ギリで南西方向の空に見えています。また,天頂近くにはふたご座のカストルとポルックスも見つけることができます。ふたご座は冬の星座です。
一方,北の空に目をやると,春の星並びとして有名な北斗七星 が見えています。
北斗七星の柄の部分をひしゃくの部分とは反対方向に伸ばした先に,さきほど紹介した,うしかい座のアークトゥルスがあります。アークトゥルスをさらに南へ伸ばすとおとめ座のスピカがあります。この北斗七星の柄の部分から,アークトゥルス,スピカと結ぶけっこう長い曲線が春の大曲線。冬と春の特徴的な星の並びの両方が見えているわけです。
こういった星々を結んでできる形や星座の観察には,天体望遠鏡は必要ありません。望遠鏡の順番を待つ間,星々が作り出す様々な形を見つけて楽しんでみてください。
春の星座はいくつかありますが,この時期に最も見やすい春の星座の一つにしし座があります。しし座は星占いにも登場することもあり,よく耳にする機会の多い星座ではないでしょうか。
方角はほぼ南。南の空高く視線を上げたところに見つかります。目印は一等星レグルス。上に星座線を入れたしし座の写真を載せていますが,このレグルスを目印にすれば,ししの形を追うことは,比較的容易だと考えます。レグルスがあるのが前足。レグルスから上(北)の部分に,『?』マークを裏返したような星の並びがわかります。この部分がライオンの頭,胸の部分となります。写真の星座線からも,何となく(右を向いた)ライオンっぽい感じを探し出すことができそうでしょ?
レグルスとは『小さな王』の意味があります。また,レグルスの左(東)方向に,しし座で2番目に明るい2等星のデネボラという恒星も見つかります。デネボラとは『ライオンの尻尾』という意味で,そのまんま,ししの尻尾にあたる恒星です。
しし座の後ろ足のところには,たいへん遠くにある系外星雲(銀河系の外側にある銀河)があります。M65,M66,NGC3628の3つの銀河です。距離は約3500万光年。私たちの銀河系(天の川銀河)の直径がおよそ10万光年程度といわれていますから,銀河系の大きさの350倍ほどの遠さにある天体であるわけです。そんなに遠くにある天体ですから,暗くてボンヤリとしか見えません。目をこらしてじっくりと望遠鏡をのぞき込んでみてください。系外星雲については,たくさん星の光を集めることができるスライディングルーフ内の大型望遠鏡で観察することをオススメします。
そして,春の星空に見られる星の並びとして,最も有名で目に付くのはやっぱり北斗七星でしょうか。
勘違いしている方もいる人も多いかもしれませんが,北斗七星は星座ではありません。北斗七星はおおぐま座の一部で,大熊の背中から尻尾の辺りになります。北極星を見つけるときに利用されることでも有名ですね。
北斗の『斗』は,中国では枡(ます)を意味します。名前の通り,北に見えるひしゃく(ます)の形をした7つの星というわけです。この7つの恒星は,2等星が6個と3等星が1個。まずまずの明るさと,特徴的な星の並びが,簡単に見つけやすくなっている要因といえるでしょう。
北斗七星の柄の先から2番目の星はミザールという星です。肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星。上の写真でも2つの星がくっついているのがわかりますが,明るい方がミザール,暗い方の星はアルコルといいます。
アラビア地方では,その昔,兵隊の視力検査に利用されていたそうです。視力に自信がある方は,肉眼でこのミザールが2つの星に分かれて見えるか挑戦してみてください。
北斗七星付近には,系外星雲がいくつか存在しています。その一つであるM51を紹介しましょう。
M51は,大小2つの銀河がくっついているため,子持ち銀河とも呼ばれたりもします。下の写真では,M51の渦巻きの1本の腕の先に,小型の銀河(NGC5195)が並んでいる様子がわかると思います。
残念ながら小さな望遠鏡では,大小の星雲を結ぶ腕までは見えません。それでも,目を凝らせて観察していると,大小2つの淡い雲という感じにわかるようになってきます。それは,遙か2100万光年先の深宇宙からの生の光。写真ではない本物の宇宙からの光です。遙かに遠い距離にある天体なので,見え方は残念でも,それなりの存在感を感じさせてくれるはずです。
できればM51も,しし座の系外星雲と同様,大口径の望遠鏡で観察するのがオススメです。
しし座にある系外星雲M65,M66,NGC3628。そしておおぐま座のM51と,今回は遠い天体を紹介していますが,実は,春はこうした深宇宙の天体が観察しやすい時期でもあるんです。私たちの太陽系は銀河系(天の川銀河)の内部にあります。すなわち,銀河系の内側から銀河系の外側の宇宙を観察する場合,邪魔になるのが銀河系の腕(星の集合体)である天の川です。春の星空は,この天の川から離れた部分が見えていることになり,結果,銀河系内の星々に邪魔されることなく,銀河系の外側遠くを観察することができるというわけなんです。
ということで,もう一つ(二つ?)系外星雲を紹介しましょう。
おおぐま座にあるM81とM82。M81とM82は,北斗七星のひしゃくの先に位置します。距離は1200万光年。
M81の方は渦巻き型をしていますが,M82の方は不規則な形が特徴です。望遠鏡で観察すると,どちらもボンヤリとした雲か煙状。M81の方は楕円っぽく,M82の方は細長く観察できます。数千年前に,この二つの銀河は接近して,M82はM81の大きな重力で変形してしまったと考えられています。
こちらの銀河も遠くて暗い天体です。大型望遠鏡で観察するのがいいですね。
系外星雲は数千万光年という途方もないほど距離のある遠くの天体です。そのため,天体望遠鏡を使っても本当に雲か霞のようにしか見えません。たとえ残念な見え方であっても,宇宙の奥にある本物の天体から発せられた生の光が届いているということ。あなたの眼で,その宇宙からの光をしっかりと受け止めてみてください。
それでは,系外星雲以外の天体にも望遠鏡を向けてみましょう。
まずは,散開星団(数十ないし数百の恒星が,比較的近い距離の空間に不規則に集まっている天体)です。ここで紹介するのは,ふたご座の一等星ポルックスとレグルスの中間あたりにあるプレセペ(M44) 。かに座にある天体です。M44には200個以上の恒星が集まっているといわれています。私たちの望遠鏡では,そこまではとても見られませんが,それでも数えきれないほどの数の恒星が見られます。
プレセペとは飼い葉桶(かいばおけ)という意味のラテン語。飼い葉桶とは家畜のエサ入れのこと。どう見てもエサ入れには見えないのですが,肉眼で見たときのボンヤリとしたイメージが,そう感じさせるのかもしれません。
一般的に散開星団は,拡がりのある大きな天体であることが多いので,低倍率(広い視野で見える)で観察するのがオススメです。小型の天体望遠鏡は,その低倍率が得やすいという特徴があります。
当夜,観察できる散開星団としてM44の他にも,かみのけ座Mel111,ふたご座のM35,ぎょしゃ座のM36,M37,M38などもたいへん見応えがあります。
ここまで,いくつか見所となる天体を紹介しましたが,冬から春の星空には他にも数多くの『見ておもしろい天体』がたくさんあります。冬の天体もまだ見えています。ここに記しているもの以外の天体についても,博物館の担当者が望遠鏡を使って導入,そして紹介をしてくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのか質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体がどんな天体なのかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
夜間,4月といっても山の中は冷え込みが厳しくなることがあります。防寒は十分にして,いろいろな天体の観望をじっくりとお楽しみください。それでは,観望会でお会いできるのを楽しみにしています。
<注>
天体(星雲星団)の名称の頭に付く『M』記号について
フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。『M』は観測者メシエのM。『NGC』記号は,新たにまとめられたカタログに記載されている星雲・星団および銀河の個別番号です。
※HP中の天体画像は,博物館会員が天体望遠鏡を使って撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときの見た感じに近いように若干の加工をしてあります。
円形星空図,説明図等はAdobe製Illustratorで作図しています。