香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
[イベント] スケジュール:2020/04/18
更新日:2020/03/08
*開催中止になりました(3月26日発表)
【日時】2020年4月18日(土)19時00分~20時30分 (受付18時30分~)
【内容】19時からオリエンテーション後、19時30分ころから天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】:大型望遠鏡数台、中型望遠鏡10台程度、大型双眼鏡数台、小型双眼鏡40台程度
【参加費】大人500円、大学高校生400円、中学小学生300円、就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・双眼鏡の使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明
・双眼鏡・天体望遠鏡の操作練習
【雨天・曇天時の内容】
・天体望遠鏡の操作体験
・天体模型を使った観望疑似体験
・シュミレーションソフトを使った今夜の天体紹介
・会員の話など
当日の状況に合わせて開催しています。
当日の予約キャンセルは連絡不要です。
春らんまん。星空の下にも、やわらかな春風を感じる季節になりました。この時期の天体観望会では晴れていれば、早い時間には冬の星座を、後半には春の星座を満喫することができます。夜7:00から天体望遠鏡博物館にて受付を開始しますので、ご家族、お友達お誘いあわせの上、お越しください。スタッフ一同、楽しみにお待ちしています。初心者の方大歓迎です。博物館スタッフが親切丁寧に星の楽しみ方をご案内いたします。ベテランの皆様も、もちろん大歓迎です。きっと、天体望遠鏡博物館の美しい星空のもと、昔懐かしい天体望遠鏡や高性能の大望遠鏡で見る天体にきっとご満足いただけると思います。
さて、当日の星空を簡単にご案内しましょう。
まず、望遠鏡博物館に出発する前、ご自宅や職場の駐車場などから空を見上げてみてください。このころになると、日没の時間も日に日に遅くなりますが、夕刻の色づきの中、午後6:30時ごろには簡単に一番星を見つけることができるはずです。
金星はご存知の通り、地球と同じように太陽のまわりを回っています。この時期の金星はぐんぐん地球に近づいて、4/29日には金星の最大光度と呼ばれる、もっと明るい時期を迎えます。この前後では、昼間でも青空が抜けるように澄んでいれば、空の中にポツンと明るい金星を見つけることができるようになります。位置さえわかれば、比較的簡単に見つけることができるのですが、大空の中、その位置を知るのがちょっと大変です。その探し方などは、博物館のお知らせなどでご紹介する予定なのでそちらをご覧になって挑戦してみてください。
さて、出発前のひと時、一番星探しを行い、誰が最初に探すかと競い合うのも楽しいし、ひとり見つけて優越感に浸るのも良いものです。一番星探しをしてから車に乗り込めば、道中、車内は星バナ(星話し)でもちきり、博物館で見る美しい星空への期待に胸がふくらむこと間違いありません。一番星とは、天文学的には決まりはありません。皆さんが、それぞれ最初に探した星がその日の一番星になるのが素敵です。
受付を終え、オリエンテーションに参加すると、望遠鏡や双眼鏡の使い方、今日の星の見どころなど説明があります。いろいろな天体を早く見たいと、はやる気持ちが抑えながら、まず、道中探した、金星を望遠鏡で観察してみることをお勧めします。すでに西の空にある金星は、あっという間に山の稜線に沈んでしまいます。まずはこの金星を押さえておきましょう。
地球から観察できる星は、星の数ほどたくさんありますが、月のように満ち欠けする星は、たった二つしかありません。この金星と、太陽に一番近い水星です。満ち欠けする仕組みは別の機会に詳しくお話ししますが、今の金星の姿に注目してください。半月状をわずかにすぎて、やや太い三日月状に見えないでしょうか。これから、日々地球に近づくにしたがって、さらに細くなっていく姿が観察できます。
オリオン大星雲も早めに見ておきましょう。この星雲は肉眼で見える最大の星雲です。肉眼でも、双眼鏡でも、望遠鏡でも見ても、大変楽しい天体です。望遠鏡博物館の美しい星空では、肉眼でも簡単に見つけることができます。ご存知オリオン座の三ツ星の下あたりに、淡く小さな3つの塊があります。この淡い塊の一つがオリオン大星雲です。この星雲を双眼鏡や望遠鏡で観察すると、この光は星ではなく、宇宙に浮かぶ雲のような天体だとわかります。
中心部分の台形の星並びを含むこの領域の散開星団をトラペジウムと呼んでいる。単に、この4つの星をトラペジウムと呼ぶこともある。これらの星がオリオン大星雲を照らしている。
さらに倍率を上げ、中心部を観察すると、明るい4つの星が見えてきます。この星は、この雲などの宇宙のガスが重力で引き寄せられ、ひと固まりになって星として輝き始めたもので、このあたりには小望遠鏡では見ることのできない生まれたばかりの星がたくさんあります。しかし、生まれたてとは言っても、生後約30万年。宇宙の時間のスケールは、人のそれとはあまりにも異なるため、その流れを想像することは相当難しいですが、太陽が生まれて、約46億年。ちょうど働き盛りで、あと約50億年は健在だと知ると、その一端を垣間見ることができるかもしれません。
冬の星座にはまだまだ魅力的な天体がたくさんあります。ぎょしゃ座あたりの散開星団と呼ばれる星の集まりは、望遠鏡のレンズの中の姿にそれぞれ、細かいのや荒いのやら、個性があって、見比べながら観察すると時間を忘れるほどです。
おうし座の一等星、オレンジ色がとても美しい、アルデバランやその周辺に宝石のように散らばる豪華な星の集まりはヒヤデス星団と呼ばれています。すばるも必見、ぜひ観察したいものです。ただ、この時期、冬の星座はすでに西の空に傾いていますので、早めに見ないと沈んでしまいますが、まあ、急いでたくさん見るのもよし、せかせかしないで、お気に入りの天体をじっくり観察するのもこれもまたよし。楽しみ方いろいろ、お好きな観察スタイルで思う存分、お楽しみください。
望遠鏡を使って明るい星を観察するのも楽しみがあります。オリオン座の右下、青い星はリゲルです。これを望遠鏡で観察すると、条件が良いと、明るい星の輝きに寄り添うように小さな星を見つけることができるかもしれません。また、更に明るいシリウスは難物です。
相当条件が良くないと、その寄り添う星は見ることができませんが、難しいと聞けば聞くほど挑戦したくなるものです。シリウスの寄り添う星は、シリウスの周りを約50年周期で回っているため、地球から見て近寄ったり離れたりしています。ここ10年は一番離れて見える時期ですが、これを逃すと、次回の観察好機は40-50年後になります。ただ、繰り返しになりますが、そう簡単には見えません。根気よく観察を継続して、好条件にめぐり逢うことだけが、この星を見るチャンスになります。
その他、二重星はたくさんあり、望遠鏡博物館のスタッフが次から次へと紹介します。それぞれの、星の明るさや色、隙間など、お気に入りの二重星などを見つけてみるのも楽しいかもしれません。
望遠鏡のレンズの中の観察に少し疲れたら、肉眼で、博物館のある多和地区の美しい星空を眺めてみましょう。
雲や霞が少なく、空気が澄んでいれば、明るいシリウスやオリオン座の上あたりに、薄っすら淡く、天の川が見えないでしょうか。冬の星座の中にある天の川ですから、これを冬の天の川と呼んでいます。夏の天の川に比べて、とても淡いのが特徴で、冬の天の川か見えることはとても星空が美しい証拠ともいえます。
さて、今、夏の天の川はどこにあるでしょうか。ちょうど、冬の天の川の反対側になるので、回れ右して、足元の先、地面の向こう、地球の裏側という感じでしょうか。その、位置関係をちょっとだけ、覚えておいてください。
天文ファンの間では、春は銀河の季節と言われています。春の星空にはたくさんの銀河を観察できることから、そう呼んでいるのですが、ちょっと不思議なことがあります。この広大な宇宙の中、なぜ、春の星空にたくさんの銀河が集中しているのか。その理由は、先ほど確認した、天の川と天の川の正体に関係しています。
天の川の正体はご存知の方も多いと思いますが、天の川は銀河系の星をを内側から観察していることに他なりません。言葉ではわかりにくいので、国立天文台の宇宙シミレーションソフトで、宇宙旅行に出かけて、宇宙のかなたから、銀河系とその中にある太陽や地球の位置を眺めてみると図のようになります。
太陽や地球は銀河系の結構隅のほうに位置している。そのため、銀河系の中心部分方向を見ると多くの星が見え、反対側にはさほど多く見えないことがわかる。また、上下の方向はさらに銀河系に属する星が少ないことがわかる。
夏は、地球の夜が、銀河系の中心方向を向いているため、夏の天の川として銀河系の中心方向の星の一部を見ていることになります。銀河系の中心方向には、たくさんの星が見えるため夏の天の川は明るく見えます。
一方、冬は地球の夜が銀河系の外側を向いているため、冬の天の川として銀河系の外周方向にある星の一部を見ていることになります。銀河系の外側方向には、中心部ほど星が多くないため、冬の天の川は淡く見えることになります。
秋と春の夜は、図ではそれぞれ上下の方向を向くことになり、銀河系内の星がさらに少なくなることがわかります。したがって、春は銀河系の近くの星に邪魔されることなく、遠くの宇宙が見渡せるため、はるか遠くの銀河を観察できるようになります。
つまり、夏と冬の星空の方向には銀河が少ないわけではなく、銀河系内の近くの星に邪魔をされて、遠くの銀河が見えにくくなっていることになります。
今の宇宙では、銀河は、密度の濃い部分と、ほとんど存在しない部分を繰り返しながら、ほぼ、均一に分布していることがわかっています。きっと、いつの日か、天の川の向こうにある未知の銀河を発見する技術も開発されることでしょう。どんな銀河があるのかと、どんな形をしているのかと、どんなに遠くにあるのかと、考えるだけでわくわくします。
さて、望遠鏡で銀河の姿を観察すると、なぜか心が躍ります。
日ごろ観察している、星座の星々の距離は確かに遠いは遠いのですが、一般的には約30-500,600光年の距離にあるのが一般的です。はくちょう座のデネブだけは、ちょっと遠くて約1400光年ほどです。秋の空、暗い空なら肉眼でも淡く見えるアンドロメダ大銀河は、銀河系の外側にあります。その距離、約230万光年ものはるかかなたにあるそうです。
ところが望遠鏡で観察できる銀河の数々は、1000万、2000万光年の距離はあたりまえで、なかには5000万、6000万光年もの遠方にあるものも少なくありません。地球では一億年くらい前には恐竜が大地を悠々と歩いていたそうです。その恐竜が6550万年前ころに、絶滅しました。ちょうど、そのころ、遠くの銀河を出発した星々の光が、途方もない時間と空間の旅を経て、今まさに、この望遠鏡のレンズの中に到着したと思うと、それだけで感慨深いものがあります。
さらに、銀河の形も魅力的です。いかにも宇宙を象徴するかのような、渦を巻いた形のものや、棒状のものなど様々で、中には、銀河同士が衝突してできた形のものまで観察することができます。
銀河は非常に淡く暗いため、明るい星の観察よりは、はるかに繊細で難しいです。自分の目が十分に暗さに慣れて、感度が最高になったところでレンズをのぞいてみてください。懐中電灯やスマホを見た後では、銀河観察は台無しになります。
初めて銀河を観察したときは、淡い銀河はレンズのシミくらいにしか見えないこともあります。観望会では大勢の人に見ていただくために、限られた時間で観察しますが、できれば、じっくりと、そして、何度も同じ天体を観察することで、次第に淡い天体の細部が不思議なほどよく見えてきます。時間の許す限り、銀河の観察を楽しんでみてください。
春の銀河でお勧めは次の通りですが、天体の方向や時間の都合などにより、お見せできないものありますので、予めご了承ください。カッコ内は地球からの距離
しし座 トリオ銀河
M65(約2700万光年)、M66(約2900万光年),NGC3628(約2900万光年)
りょうけん座 子持ち銀河 M51 (約2100万光年)
おおぐま座 ボーデの銀河 M81(約1200万光年)
葉巻銀河 M82(約1200万光年)
回転花火銀河 M101(約1900万光年)
りょうけん座 ひなぎく銀河 M94(約1600万光年)
おとめ座 ソンブレロ銀河 M104(約4600万光年)
かみのけ座 NGC4565(約2900万光年)
おとめ座銀河団
M58~60(約5900万光年)、M84(約4100万光年)~91(約5900万光年)、
M98~100 (約5900万光年)
なお、せっかく観察している天体ですが、大変暗く淡いため、月や惑星のようにスマホで撮影することはできません。これぞと思う銀河や星雲などは、記憶にとどめたり、あとで図鑑の写真を眺めたりして、スケッチなどして残しておくと大変良い記録になります。以前ご参加いただいた方のスケッチをご紹介しておきます。あまり細かいところにはこだわらず、目にとまったところや、ちょっと気になる場所だけを描いても構いません。手軽に気軽にスケッチすれば、相当楽しい思い出になります。
さあ、観望会も終盤です。星空には春の星座が昇ってきています。みなさん、ご存知の春の大曲線は、北斗七星の持ちで部分から、春の星空を豪快につなぐカーブです。明るい、うしかい座の一等星と、おとめ座の一等星をつなぎます。暗い星空では、さらに伸ばして、台形の星並びの、からす座までその曲線を延ばすことができます。
今日は、星空がとても美しい、望遠鏡博物館のある多和地区で観望会です。都会では見ることが難しい、かんむり座と、かみのけ座を探してみましょう。うしかい座は、お父さんのネクタイの形。今の時期なら、ネクタイの太い部分の下側にアルファベットCの文字を逆さにした感じ、目の検査の左って言うマークに似ているかも。これが、かんむり座です。かんむり座をつなぐ星は、それぞれが約一等級ずつ違っているので、何個見えるかで星空の暗さがわかる便利な星並びです。多和の空なら晴れていれば、楽々全部見えるはずです。場所がわかれば、結構目に留まる星座なので、うしかい座を見つけるときに一緒に探すのもよいかもしれません。
かんむり座の星並びの東側(今の時期なら下側)にHD 145457という恒星があります。国立天文台の、すばる望遠鏡と岡山天体物理観測所の望遠鏡を使った観測で2010年にこの星に巨大ガス惑星が発見されました。そして、先日、この恒星をカムィ、その恒星のまわりを回るガス惑星を、ちゅら、として国際天文学連合(IAU)によって登録されました。この星は6等星ほどの明るさなので肉眼で見ることは難しいかもしれませんが、場所さえわかれば、双眼鏡や望遠鏡で観察可能です。星図を見ながら、この星を探してみるのも一度は挑戦してみたいものです。
かみのけ座の星並びをつなぐのは、ちょっと難しいかもしれません。かみのけ座は、うしかい座のネクタイの形を中心に、かんむり座と折り紙を折り返したような位置にあります。このあたりには、暗い星が集まっており、この多くの星の集まりを、美しい髪の毛に見立てて星座を作ったようです。暗い空では、これらの星のいくつかを肉眼で見ることができますが、双眼鏡を使って観察すると、美しい星々の輝きに思わず声が出るほどです。ぜひ、かみのけ座の美しい姿も確認してみてください。かみのけ座には、長いバーベキューの串に、お団子を刺したかのような特徴的で美しい形の銀河NGC4565や、多くの銀河が密集している、かみのけ座銀河団などがあることで知られています。
その他、望遠鏡観察ならではの天体がたくさんあります。観望会場では詳しいスタッフがお勧めの天体を次から次へとご案内しますので、思う存分お楽しみください。可能な限りリクエストにもお答えしていますが、観望会の混雑状況などでご希望に添えないときもありますがその際はお許しください。
博物館は市街地から離れており、周囲が山で囲まれていることから、美しい星空を観察することができます。とても暗い場所なので、懐中電灯などを持参されることをおすすめします。しかし、観察中の使用は可能な限り避けましょう。人間の目は性能が良く、暗い場所に目が慣れると、とても淡い光や暗い星まで見ることができます。ところが、せっかく暗さに慣れてもたくさんの星が見えるようになっても、懐中電灯やスマホの明るい光を見てしまうと、一瞬にして元に戻ってしまいます。再び暗さに慣れ最高感度に戻るまでに30分以上かかる場合もあります。
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文中の図表はプラネタリム表示用フリーソフトStellarium 0.19.1を使用しました。
銀河系のコンピュータグラフィクは国立天文台フリーソフトMitaka ver.151を使用しました。
文中の銀河のスケッチは以前に観望会に参加した方の作品を許可を得て掲載しています。
文章と図表作成は fuji_san ( fuji )