香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
[イベント] スケジュール:2023/06/24
更新日:2023/06/23
*2023年6月24日(土)夜間天体観望会は開催済みです。多数のご参加ありがとうございました。*
6月24日(土)開催予定の夜間天体観望会のご案内です。
天気予報では「曇り」てすが、晴れ間から月、星が見られる可能性がありますので本日の夜間天体観望会は開催致します。観望会が出来ない場合は、屋外や室内で別プログラムを行います。ご来館をお待ち申し上げます。
【日時】
2023年6月24日(土)
19時30分:開場・受付開始
20時00分:オリエンテーション
20時10分:観望会開始
21時30分ころ:終了予定
【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度
【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【募集組数】15組(50名程度)
*新型コロナウイルス感染症の状況により募集数を増加、減少させることがあります。
【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明
【雨天・明らかな曇天時】
・開催中止に致します
*通常時は雨天・曇天時でも別プログラムにて室内開催していますが、コロナ禍が収束するまでは室内での「密」を避けるため雨天・明らかな曇天時は開催中止と致します。
*開催中止のお知らせは観望会当日の正午過ぎにホームページに掲載致しますので来館前にご確認下さい。
【参加方法】ネット予約が必要です。
募集数を越える予約数になりましたので予約受付を終了致しました(6月23日19時10分)
☆★今回の天体観望会での観察オススメ天体リスト
惑星: 金星,
月: 月齢6.3の月,
星座:しし座,おとめ座,うしかい座,
一等星:レグルス,アークトゥルス,スピカ,アンタレス,ベガ,
星の並び:北斗七星,春の大曲線,
星雲:しし座の系外星雲(M65,M66,NGC3628),
星団:ヘラクレス座の球状星団M13,りょうけん座の球状星団M3,
二重星:ミザール,プルケリマ, 他
3日前に夏至を過ぎたばかりの当夜,日没は遅く,観望会のオリエンテーションの開始時刻頃は,まだ空に明るさが残っていると思います。
その青味の残る空に目をやると,月とその右下に非常に明るく輝く一つの星が目に付くはずです。
こんなイメージでしょうか。
この明るい星は,太陽系第2番目の惑星である金星です。
夕空に明るく見える金星を,宵の明星(よいのみょうじょう)と読んでいます。明るさは-4.4等。一等星の100倍以上の明るさです。
金星は地球の内側を回る内惑星。内惑星は月と同じように満ち欠けをします。
金星の位置により,太陽光を反射した金星の光っている部分が(地球からは)違って見えるわけです。 当観望会の頃の金星は,ちょうど金星の左上に見えている月とよく似た形をしています。どちらも三日月より少し膨らんだ形です。まったく別の天体なのに,形はよく似てる。おもしろいですね。
望遠鏡で覗くその金星ですが,輪郭はとてもよくわかるのですが模様は一切見えません。それは金星が分厚い二酸化炭素の大気や大量の雲に覆われているからです。
二酸化炭素は可視光線は素通ししますが,赤外線に対してはほとんどを吸収してしまいます。金星表面では強烈な日光によって熱せられた金星の岩石は赤外線を放射します。そして,二酸化炭素はその赤外線を外に逃がさず,そのエネルギーを大気で蓄えたまま,大気中の熱を増大させていくのです。
身近な例として,車の窓ガラスも金星の二酸化炭素と同じような働きをします。天気の良い日に窓を閉め切ったまま屋外に駐車している車を思い浮かべてください。日光は窓ガラスを通り抜け,車内やシートを暖めます。温まったシートは赤外線を放射しますが,ガラスは熱放射を外に逃がさないので,車内には熱がこもり,車のドアを開けたとき『熱い!』となってしまうのです。金星は数十億年間,この車と同じような状態だったのだろうと考えられています。
少し金星の天気予報をしてみましょう。
「今日の金星の天気です。ずっと昔からですが今日も相変わらず曇りで,一時的に硫酸の霧雨が降るところもあるでしょう。気温は500゜C。やけどに気を付けてください。」
すごい世界ですね。
宇宙は不思議なことでいっぱい。
そんなことを考えながら望遠鏡を覗いてみると,すぐお隣の惑星の見え方もひと味違ってくるかもしれませんよ。
さて,その金星ですが,上のイメージ図でもおわかりになるように,山の稜線に近い位置にあります。のんびりしていると沈んで見えなくなってしまいます。当夜はまず一番に,この金星を観察しておいてください。
そして月です。
望遠鏡を使って観察すると,月はとても明瞭に見ることができます。何といっても地球に一番近い天体ですからね。特に三日月から半月頃の月は,太陽光が横方向から当たっているために,月面のクレーターの凸凹を特にコントラスト高く見ることができるんです。
上の月の写真は,6月24日に見える月に近い月の画像です。
画像の真ん中よりもやや上あたりにツルツルしていて,平坦で凸凹感のない部分(『海』といいますが,海水があるわけではありません。)が見えてます。この辺りが,餅つきをしている『ウサギの頭→耳』にあたります。この頭の部分が『静かの海』と呼ばれている一帯で,1976年に初めて人類が月面に降り立った場所でもあります。上の写真でも,頭の部分から,大きな2つの耳が下向きに,カニのはさみのように見えています。この写真に見える左の耳の付け根のあたりに,アポロ11号の着陸地点があります。
そして,クレーターの多い部分は,『山』(こちらは文字通り山岳地帯です)というわけです。
それでは,昔から一番身近に感じられた天体であろう月,その月の紹介を少ししておきましょう。
月の大きさは,直径約3,500km。地球のおよそ1/4。他の惑星の衛星と比較しても,地球の大きさに比べて,月という衛星の大きさは大き過ぎるのです。この大きさの不釣り合いについては,まだ解けていない謎の一つとされています。
月までの距離は約38万km。ジャンボジェット機のフルスピードで飛ぶと,2週間ほどかかる距離です。思ったよりも近いと感じますか?遠いと感じますか?
その月の1日は(地球での)約29日。15日ほどの昼と15日ほどの夜が交互にやってきます。月にはほとんど大気がなく,そのために昼夜の温度差が非常に大きくなります。昼は100℃を超え,夜になると-170℃ほどまで下がります。月面もかなり過酷な世界のようです。
今,プロ野球のペナントレースが真っ最中ですが,月を紹介するときに,『もし月面で野球をしたら』みたいなお話をすることがあります。
月には空気がないので音が伝わりません。応援の声も何も聞こえない,ひたすら静寂の中での試合。ちなみに,空気がないのでピッチャーは変化球を投げることはできません。また,重力が小さいので,バットに当たるとボールはものすごく飛ぶでしょう。当たれば全部ホームランかも。そもそもそのバットも軽々振ることができるはずです。ところが重力が小さいために自身の体重は軽くなるので,ヒットを打っても1塁までは,ピョンピョンと跳ねるように走って行くことになります。あまりかっこよくない・・ですよね。
そもそも数十kgの宇宙服や酸素ボンベを身につけないと動くことはできません。これでは野球とはいえそうにないですね。。やっぱり地球とは全然違う世界です。
月には,丸い形をしたクレーターがたくさんあって,その成因は,隕石や小天体の衝突によるものと考えられています。低倍率で月の全体像を見たら,次は倍率を上げてクレーターの細部を観察してみてください。クレーターの中にさらに小さなクレーターも多数見えてきたり,ひび割れたような複雑な地形が見えたりしてきます。大きなクレーターの多くは,富士山レベルかそれ以上の高さです。
その月面を,倍率を上げて見てみるとこんな感じ。
倍率を,もっと上げるとこんな感じ。
迫力のある月面アップを,ぜひお楽しみください。
☆ここでワンポイント!
天体観望会で望遠鏡を覗いていただいていると,『この望遠鏡は何倍なんですか?』と尋ねられることがあります。基本的に天体望遠鏡は倍率を変えることができるので,そのときどきによって倍率は違っています。
ちなみに,天体望遠鏡の倍率=天体望遠鏡の対物レンズ(鏡)の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離 となります。
例えば,焦点距離が1000mmの望遠鏡に,焦点距離が10mmの接眼レンズを取り付けると,
1000mm÷10mm=100 で,この場合の倍率は100倍ということになります。
対物レンズの焦点距離は変えることができませんから,使用する接眼鏡を交換することによって倍率を変えていきます。この式から,短い焦点距離の接眼鏡に換えることによって,倍率を高くすることができると読み取れるでしょう。
ただ,いくら倍率を変えることができるといっても無制限に高倍率にすることはできません。標準的な数値として,対物レンズの直径(口径)をmmで表した数値を2倍した倍率が有効的な最高倍率だとされています。すなわち,口径の大きな望遠鏡ほど高い倍率を得ることができるということです。
望遠鏡を覗きながら,『この望遠鏡の今の倍率は何倍?』と,ぜひ尋ねてみてください。
さて,月と金星を観察したら,次は星空全体を見渡してみましょう。
月明かりの影響で,若干暗い星々が見えにくくなっているかもしれませんが,明るく輝く一等星たちをまずは見つけてみてください。
上図は,午後8時頃に南方向を向いて見上げたときの星空のイメージです。
南に空高く,明るく輝くうしかい座の一等星アークトゥルス。その少し下(南)には,おとめ座の一等星スピカ。スピカの右(西)にはしし座の一等星レグルス 。左下(南東)にはさそり座の一等星アンタレスが見えています 。
また東空に,こと座の一等星ベガも見えてきています。ベガは夏の大三角を形作る一等星の一つ。時間とともに東から西へ,春の星空から夏の星空へと切り替わって様子がわかります。
観望会の時間帯では,春の星々がまだ主役のようです。
上の円形の星空図は,当夜午後8時頃の天空全体を示しています。
※上下左右に記してある方角を下にして見ると,星座早見盤のように扱うことができます。
北の空高く見えている北斗七星の柄の部分を延長して,アークトゥルス,そしてスピカまで結んだ曲線が春の大曲線。
それでは次に,当夜,天体望遠鏡で見ておもしろい天体を紹介していきましょう。
6月の星空には見応えのある二重星がたくさんあります。
二重星というのは,2つ以上の恒星が接近して見える星をいいます。肉眼ではひとつの星にしか見えない星であっても,天体望遠鏡を使って観察すると2つの星に分かれて見えたりします。
二重星は,実際にお互いの星が引力で引き合って周り合っている二重星を『連星(れんせい)』と,ただ単に同じ方向に接近して見えているものを『(見かけの)重星』とに区別して記されます。
二重星によっては,色の組み合わせがとてもきれいなものがあり,”単に2つの接近した星”ということ以上の楽しみ方があります。
ここでは,見やすいものから順に3つほど紹介しましょう。
1つ目は,北斗七星のミザールという星。北斗七星は,北の方に目を向けると,空高く見えています。その北斗七星の柄の先の方から2番目の星がミザールです。肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星で,アラビアの方では,昔,兵隊の視力検査に利用されていたそうです。果たして2つの星に見えるでしょうか,ぜひご自分の視力をチェックをしてみてください。明るい方の星がミザール,暗い方の星はアルコルといいます。このミザールの方を望遠鏡でアップして見ると,さらに二重星になっているのがわかります。この2星はお互いが2万年周期で回り合っている連星になっています。
2つ目に紹介するのは,りょうけん座のコル・カロリという星。小さな望遠鏡でも見やすい二重星(連星)です。明るい星の方は黄色みのかかった白。暗い方の星(伴星)は青紫っぽい色。どちらも微妙な色合いです。また,人によって違う色に見えるという話もあります。さてあなたは何色に見えるでしょうか。ぜひお隣の人と確かめ合ってみてください。
3つ目に紹介するのは,うしかい座のプルケリマ。正式にはイザールという名の星ですが,ラテン語で『最も美しいもの』という意味のプルケリマという名前も付けられています。確かに全天一の美しい二重星だと言う人も多いようです。
天体望遠鏡の高倍率で観察すると,黄色の3等星と青白い5等星がくっついて見えてきます。色の組み合わせが見事です。じっくりとながめてみてください。小さな望遠鏡ではわかりにくい可能性があります。スライディングルーフ内の大型の望遠鏡で観察するのをオススメします。
春の星空は,『宇宙ののぞき窓』といわれるほど,遠くの宇宙が数多く見えます。
(上の円形星図をご覧ください)春は天の川が低い位置にあります。言い換えると,太陽系のある天の川銀河の腕(恒星の集まり)に邪魔されずに,遠くの宇宙を覗くことができることになります。しし座→ かみのけ座→ おとめ座付近には,遠い銀河が数多く見えています。まさしく宇宙ののぞき窓です。
ここでは,しし座の後ろ足の部分にある3つの系外星雲(銀河系の外側にある銀河)を紹介しておきましょう。それぞれM65,M66,NGC3628という天体(下画像)です。この3天体ともに小宇宙のグループをなしている仲間同士。距離も3天体とも約3500万光年。私たちの太陽がある銀河系(天の川銀河)の直径がおよそ10万光年程度といわれていますから,銀河系の大きさの350倍ほどの遠方にある天体です。そんなに遠くにある天体ですから,暗くてボンヤリとしか見えません。目をこらしてじっくりと望遠鏡をのぞき込んでみてください。これらの天体は,小型の望遠鏡では明確には見えにくいものです。大きな天体望遠鏡で観察してください。
そして,球状星団(多くの恒星がお互いの重力で球形に集まった天体)を紹介しておきましょう。
まず,うしかい座のアルクトゥールスとコルカロリの真ん中付近にあるM3 。実際の大きさは直径は100光年以上。50万個もの恒星が集まってボール状に見えている天体。年齢も相当に古い天体です。
下の画像は,M3を中倍率で見た感じのものです。
最後に,ヘルクレス座にある球状星団M13。
M13は数ある球状星団の中でも大型のもので,北天一の美しさを誇るとも言われます。先に紹介したM3も大きくて立派な球状星団ですが,M13の方が若干明るくて大きいためか,こちらがより迫力があるような見え方をします。ぜひ見比べてみてください。
下の画像は,M13を大きな望遠鏡に高倍率をかけて見たときのイメージです。
球状星団は大きな望遠鏡で観察するのが基本です。口径(鏡やレンズの直径)の大きな望遠鏡ほど,細かい部分まで見分けることができます。大小いくつかの望遠鏡を見て,球状星団の見え方がどう違うのか比較してみてください。口径の大きな望遠鏡で倍率を高めにして観察すると,(気流や空の状態にもよりますが)一つ一つの星々がブツブツと分離して見えてきます。
M3は春の球状星団,一方M13は夏の球状星団となっています。
ここまで,春から夏の天体をいくつか紹介しましたが,他にもたくさんの『見ておもしろい天体』がたくさんあります。ここに記しているもの以外の天体についても,博物館の担当者が望遠鏡を使って導入,そして紹介してくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体がどんな天体であるかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
また,大きな望遠鏡と小さな望遠鏡とでは見え方が大きく違ったりします。レンズを使った屈折望遠鏡と鏡を使った反射望遠鏡とでも,見え方に違いがある場合があります。倍率の違いによる見え方の違いもあります。同じ天体でも,いろいろな望遠鏡,いろいろな倍率で観察して,見え方の違いを味わってみるのもおもしろいと思います。
<注>
天体(星雲星団)の名称の頭に付く『M』記号について
フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体には個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。『M』は観測者メシエのM。『NGC』記号は,新たにまとめられたカタログに記載されている星雲・星団および銀河の個別番号。
月齢(げつれい)というのは,新月のときを0として数えた経過日数。新月から満月,そしてまた新月に戻るまでの日数は29.5日。通常,月の満ち欠けの度合いを示す数値として扱われます。
※HP中の星図は,アストロアーツ社製StellaNavigator12で作成しています。
その他の円形星図,イラストはAdobe Illustratorで作図しています。
天体画像は,博物館会員が小型の天体望遠鏡で撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように若干の加工をしてあります。