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【開催済】10月12日夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2024/10/12
更新日:2024/10/11

2024年10月12日(土)の夜間天体観望会のご案内ページです。

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【日時】
2024年10月12日(土)
17時50分:開場・受付開始
18時20分:オリエンテーション
18時35分:観望会開始
20時00分:終了予定

*できるだけ18時15分までに受付できるようにご来館下さい*

【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います

【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度

【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料

【募集組数】30組(80名程度)

【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明

【雨天・曇天時】
雨天・曇天時は別プログラムにて開催致します。

別プログラムの例
・直径7メートルの大型エアドームによるプラネタリウム
・4次元デジタル宇宙ビューワー「Mitaka」による星空ツアー
・館内ナイトツアー
・スタッフによる実験やお話など

参加お申し込み方法
ネット予約でお申し込み下さい*2024年10月12日の夜間天体観望会は開催済みです

10月12日の星空案内

☆★2024年10月12日 天体観望会オススメ天体リスト
星座:ペガスス座,カシオペヤ座,こと座,はくちょう座
一等星:フォーマルハウト,ベガ,デネブ,アルタイル
星の並び:秋の四辺形,夏の大三角
星雲:アンドロメダ座大星雲(M31),こと座の惑星状星雲(M57)
星団:ペルセウス座二重星団,ペガスス座の球状星団(M15)
二重星:アンドロメダ座アルマク,はくちょう座アルビレオ
惑星:土星,土星の衛星タイタン
月:月面,クレーター

 秋分も過ぎた10月中旬。暦の上では秋のど真ん中。夏場に比べて,暗くなるのがずいぶんと早くなっています。観望会の始まる19時では,空もかなり暗くなっていて,星々も何個か見えてきていると思います。
 その夜空を少し見てみましょう。

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 上の円形星空図は,観望会当夜20時頃に見える星空です。
 ※上下左右に記してある方角を下にして見ると,星座早見盤のように扱うことができます。

 月が明るくて星が見つけにくい場合,明るい一等星を目印に探してみるのが一番。
 まずは,天頂から西寄りにベガとアルタイル,そしてデネブの3つの一等星が見えてます。この3星がつくる三角形が夏の大三角。ということは,西空にはまだ夏の星々が見えているってことですね。
 そして,秋の唯一の一等星みなみのうお座のフォーマルハウトが,月のちょっと左(東)にあります。
 わかりづらいかもしれませんが,月から左(東)へずーっと視線を動かして,そのフォーマルハウトを探していると,同じような明るさの星が上と下に2つ見えていると思います。月の左(東)に見えている明るい2つの星のうち,上(北)の方の星が土星。下の方に見えている星がフォーマルハウトとなります。フォーマルハウトは南の空のけっこう低いところで,地味ぃに光っています。
 まずは上の円形星図の中から,ベガ,デネブ,アルタイル,フォーマルハウト,土星を見つけてみてください。
 当夜,南の方角に身体を向けて,見上げてみるとこんな感じになります。

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 この図は,観望会の夜20時前の南方面を向いて,見上げたときのイメージです。
 (注)イメージ化しているおおまかな図なので,実際の星の高度,離れ具合,配置とは違っています。
 南の低いところにあるフォーマルハウト,そして土星,見つけられそうでしょうか。

 それでは,この夜の観望会の主役天体となりそうな,まずはこの土星を紹介したいと思います。

土星

 大きさは,地球の9.5個分と,太陽系では木星に次ぐ大きな惑星です。また,環(輪っか)のあることで有名で,観望会では,望遠鏡を覗いたときに,いつも歓声があがる天体でもあります。天体望遠鏡を使うと,その環も明瞭に見ることができます。
 土星までの距離は,約12億km。といってもピンときませんね。
 地球をビー玉に例えてみましょう。すると土星は,今が旬の梨くらいの大きさで,その梨の大きさの土星が,ビー玉大の地球から1.8kmほど離れたところを回っていることになります。距離感をイメージできそうでしょうか。
 土星は,表面に固い地面はなく,水素とヘリウムでできているガス惑星です。だから,土星に下り立って表面を歩くことはできません。
 そして,注目の環です。
 土星の環は,微小なものから岩塊ほどのサイズの氷をメインに,小石や岩からできていると言われています。土星の環がどうやってできたということについては,いくつかの説がありますが,土星の衛星の一つが土星本体の潮汐力によって,粉々にされたという説が有力のようです。惑星探査機ボイジャーやカッシーニの探査結果からは,この環を構成している氷が,雨のように土星本体に降り注いでいることがわかってきました。あと一億年もすれば,土星の環は消えてなくなるかもしれないということです。
 遙か遠い未来,土星の環は消えてなくなる。ところが,もっと近い来年2025年,この土星の環は見えなくなるんです。

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 土星の環は年によって傾きが変わって見えます(上図参考)。7~8年かけて,幅広く見えるときから,幅狭く細く見えなくなるときまで,その見え方は徐々に変わっていきます。来年の2025年は,その環が最も細く見える時期になるんです。
 土星の環は,その厚みが数m~数百mと考えられていて,土星本体の直径(116,460 km)と比較すると1/20万。土星本体に比べると非常に薄いわけです。さきほどの例にした梨で考えてみると,環の厚みは1μm(マイクロメートル)以下と,細菌レベルとなります。このように,あまりに薄いため,認識できなくなる(見えなくなる)んです。この見えなくなる現象を環の消失と呼んでいます。
※見えなくなっている時期は,長期にわたるものではありません。また,環の見えない期間は,観察に使用する望遠鏡の口径(解像力)や倍率にもよって違ってきます。
 来年に迫った環の消失に向けて,今季の環の傾きは,ずいぶんと傾いて,ちょうど団子に串が刺さっているような感じに見えていると思います。当夜は,この環の傾きにも注目して,観察してみてください。
 また,土星本体のそばには,いくつかの衛星を見ることができます。望遠鏡で見える土星の衛星の中で一番明るいのはタイタンとよばれる衛星です。タイタンは木星の衛星ガニメデに次ぐ太陽系で2番目に大きな衛星で,惑星である水星よりも大きな天体でもあります。衛星でありながら,惑星よりも大きいなんて,すごい衛星ですよね。
 そのタイタンには,液体の湖の存在が確かめられていて,生命の存在もうわさされています。そんなこともイメージしながら望遠鏡を覗くと,ロマンを感じたりはしないでしょうか。

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 上の図で当夜のタイタンの位置を表示しています。使用する望遠鏡により,図とは左右逆,上下逆という見え方をする場合があります。上図を参考に相対的な位置関係で,どれがタイタンなのか同定してみてください。この夜は,土星のすぐ近くにタイタンは見えています。土星の一番近くに見える一番明るい光点が,おそらくタイタンだと考えます。
 なお,望遠鏡の口径が大きくなると,もっと暗い衛星まで見えてきます。通常は,タイタン以外にも3~5個程度の衛星が見えてくるはずです。もちろん,空の条件にもよりますが,大口径の望遠鏡で,今,何個見えているか確かめながら観察するのもおもしろいかもしれませんね。

 さて,土星を十分に観察したところで,今夜のもう一つの主役級の天体である月の方にフォーカスしましょう。
 この夜の月は,半月よりもわずかに膨らんだ形をしています。
 月の膨らみ具合を示す指標の一つに月齢(げつれい)というものがあります。
 月齢というのは,新月のときを0として,新月からの経過日数を表す数字です。新月から満月,そしてまた新月に戻るまでの日数は約29.5日。通常は,月の満ち欠けの度合いを示す数値として扱われます。当夜の月齢は9.7。15夜お月さんが満月ですから,その半分の半月の月齢は15÷2で7.5前後。
 月齢9.7なので,9.7-7.5≒2。半月よりも約2日ほど経過した月ということになります。

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 月の観察をする場合,オススメの注目ポイントは月の欠け際です。ちょうど横方向から太陽光が当たっているため,コントラスト高く,立体感のある見え方をします。
 低倍率では月全体が楽しめます。クレーターが数多く見られる山岳地帯と,クレーターは少なくて平坦な印象の海と呼ばれる部分に目を向けてください。海の部分は黒っぽく,クレーターが少なく平坦な感じに見ることができます。
 一方,高地(山岳地帯)は高倍率で観察するのが良いでしょう。クレーターの輪郭部は,徳島県の剣山から富士山級の高さを誇ります。迫力で迫るその様子を味わってください。

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 続いて星座の方に目を移してみましょう。
 秋の星座で有名どころといえば,一つはカシオペヤ座,そして星座ではありませんが秋の四辺形といったところでしょうか。
 この秋の四辺形はペガスス座の一部の形を示します。
 上の円形星図をもう一度ご覧ください。
 ペガスス座から東,南東,北方面を探すと,カシオペヤ座,アンドロメダ座,ペルセウス座,ケフェウス座,くじら座などが見つかります。これらの星座は,2等~4等といった,それほど明るくない恒星が多く,全体の形を見つけるのは簡単ではありません。(カシオペヤ座は例外で見つけやすい!)
 これら地味かもしれない秋の星座たちは,神話の中で一つの物語を展開しています。今回の神話解説はそのお話を紹介をしておきましょう。タイトルは,エチオピア王家の物語です。

『 古代エチオピアにアンドロメダという名の姫がいました。
 アンドロメダは,エチオピアの国王のケフェウスと,その妃であるカシオペヤの間に生まれた美しい王女で,その美しさゆえ,母親のカシオペヤは娘の自慢ばかりをしていました。そして,『海の妖精であろうとアンドロメダの美しさにはかなわないだろう』と口をすべらせたことで,海神ポセイドンの怒りをかってしまいます。
 怒ったポセイドンは巨大な化けくじらをエチオピアの海岸に差し向けました。
 くじらといっても,ただ大きいだけのくじらではありません。恐ろしいつめの生えた手が2本,鋭い牙が生え並んだ口,その口から海水を吐くだけで大津波が起こるという怪物です。
 化けくじらが起こす大津波に苦しむ民衆に,頭をかかえた国王ケフェウスが神様に相談にいくと,それはカシオペヤの自慢話が原因であることがわかりました。そして海神ポセイドンの怒りを抑えるには,王女アンドロメダをお化けくじらの生け贄にささげるしかないと告げられたのです。
 もちろん,王はかわいい娘を差し出すことはできません。かといって,化けくじらをそのままにしておくこともできません。親として娘を守るか,王として国を守るか,究極の選択を迫られます。しかし,その話を知った国民が有無を言わさず,アンドロメダ姫をさらって,両手に鎖をかけて岩に縛り付けてしまったのです。
 やがて,岩にくくりつけられたアンドロメダ姫を見つけて,化けくじらがやってきました。そして,アンドロメダ姫に対して大きな口をあけて襲いかかる化けクジラ。アンドロメダ姫が恐怖のあまり気を失いかけたそのときです。白い天馬(ペガスス)に乗った一人の若者が大空から舞い降りてきました。
 勇者ペルセウスです。
 ペルセウスは袋からメドゥーサの首を取り出し,化けくじらにその顔を向けました。なにしろ顔を見たものは全て石になってしまうというメドゥーサの首ですから,化けくじらといえどもひとたまりもありません。あっさりと石になってしまい,海中深く沈んでいきました。
 ペルセウスは,アンドロメダ姫に一目惚れし結婚を申し込みます。また,ケフェウス王もペルセウスの勇敢な姿にすっかりほれこんでしまって,娘との結婚を承諾しました。 』

 と,こんなお話ですがいかがですか。この話に出てくるケフェウス,化けくじら,ペルセウス,アンドロメダ,カシオペヤ,ペガススが,全て星座として出揃っているのが秋の星空の特徴の一つです。単純なストーリーではありますが,星空を舞台に繰り広げられる物語,とても壮大に感じませんか?

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 天頂からやや東よりにはペガスス座。ペガスス座の秋の四辺形は,かなり大きな四角形です。
 エチオピア王家の物語に登場する星座たち,秋の星空の主役となる星座たちを,カシオペヤ座のW形,ペガスス座の四辺形などを目印に,ぜひ見つけてみてください。

 最後に,当夜,見て楽しめる天体を紹介しておきましょう。
 まだ夏の星座や天体も見えていますが,今回は秋の天体を中心に解説しておきます。

☆★散開星団
 ほぼ同時期に誕生した星々が,比較的近い領域に集まってる天体

ペルセウス座二重星団(h&χ)
 カシオペヤ座のW形の近くにある見事な散開星団。双眼鏡でもよく見える星団です。倍率は低めの方が隣接する2つの星団の全体像が見渡せることもあり,見た印象は良い感じがします。小型望遠鏡の低倍率での観察がオススメです。赤っぽい星があちこちに見られ,二重星団の良いアクセントになっています。
※距離は1,400光年

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☆★系外星雲
 天の川銀河(銀河系)の外にある銀河(島宇宙)

M31(アンドロメダ座大星雲)
 アンドロメダ座にある系外星雲。肉眼で見える最も遠い天体です。倍率は低めの方が全体像がわかりやすい。渦巻きにはなかなか見えませんが,見かけの大きさは満月の約5倍ほどもあるビッグな天体です。望遠鏡では渦巻きのうちの中心部がボンヤリと見えます。
 距離は230万光年。すなわち,今から230万年前(旧石器時代です!)にアンドロメダ星雲を出発した光が,今ここに届いているわけです。本にある写真のようには見えませんが,ご自分の目でアンドロメダ星雲からの生の光を体感してください。
※距離は230万光年

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☆★二重星
 肉眼では1個の星にしか見えないものが,望遠鏡で観察すると接近した二つ(以上)の星として見える天体。実際に二つ以上の恒星がお互いに回り合っている天体を『連星』。たまたま同じ方向に近寄って見えている見かけ上,二重に見えている天体を『見かけの二重星』といいます。

アルマク(アンドロメダ座の二重星)
 アンドロメダ座には美しい二重星があります。アルマクという名の二重星で明るさは2等級。青色とオレンジ色の色の対比が美しい二重星です。肉眼ではわかりませんが,望遠鏡を使って少し倍率を上げて見てみると,2星が分離して色の具合もよくわかってきます。この二重星は実際に2つの恒星が公転し合ってる『連星』です。
 似たような色の組み合わせのアルビレオという二重星がはくちょう座にあります。こちらも有名ですが,アルマクの方が,より接近し合ってるせいか色が濃く感じられる気がします。

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☆アルマク:これは写真ではなくてイメージです。

☆★球状星団:
 恒星が互いの重力の作用で球状に集まった天体。
 多くは天の川銀河(銀河系)の周辺部に存在します。
M15・・・ペガスス座にある球状星団。
 天馬ペガススの頭の先にある。秋を代表する球状星団。数ある球状星団の中でも最も古い部類となる。距離は33,000光年

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 この夜間観望会の主役は,土星と月かもしれません。また,月明かりの影響で,暗い天体は見えにくい状況にあるかもしれません。それでも,まだ夏の星雲星団も見えていますし,上に紹介したもの以外にも,見ておもしろい天体がたくさんあります。
<例>
★アルビレオ:はくちょう(座)の口ばしにあるオレンジと青の組み合わせがとてもきれいな二重星
★こと座ε(イプシロン)星:二重星が二重になって見えるため通称『ダブルダブルスター』
★こぎつね座の惑星状星雲M27:銀行の地図記号に似た美しい星雲(電子観望に適しています)

 当夜は,博物館の担当者が様々な望遠鏡を使って導入,そして紹介してくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体がどんな天体であるかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
 また,大きな望遠鏡と小さな望遠鏡とでは見え方が大きく違ったりします。レンズを使った屈折望遠鏡と鏡を使った反射望遠鏡とでも,見え方に違いがある場合があります。倍率の違いによる見え方の違いもあります。同じ天体でも,いろいろな望遠鏡,いろいろな倍率で観察して,見え方の違いを味わってみるのもおもしろいと思います。
 秋の夜,虫の声に耳を澄ませながら,いろいろな天体の観望をぜひお楽しみください。
 それでは,観望会でお会いできるのを楽しみにしています。

<注>
天体(星雲星団)の名称の頭に付く『M』記号について
フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体には個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。『M』は観測者メシエのM。

※HP中の星図,星座絵図は,アストロアーツ社製StellaNavigator12で作成しています。
天体画像は,博物館会員が天体望遠鏡を使って撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときの見た感じに近いように若干の加工をしてあります。円形星空図,説明図等はAdobe製Illustratorで作図しています。

 

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