香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
[お知らせ] 更新日:2018/03/30
天体望遠鏡博物館会員の岡村和彦氏による天体写真展「天体写真の愉しみ」を開催致します。氏は高松市内の会社に勤務しながらボランティアとして天体望遠鏡博物館の活動を行っています。一級建築士資格も保有しており当館の大型望遠鏡収納棟が実現したのも氏の活躍によるものです。忙しい業務の中、数少ない月明かりのない快晴の星空のチャンスを活かして撮影された天体写真は、同好の士ならば相通じるものが感じられるでしょう。また一般の方にとっては目の前の「素晴らしい天体写真」がアマチュアによって撮影されていることに感動してもらえるのではないかと思います。ぜひお楽しみ下さい。
【開催期間】2018年3月31日~5月27日の開館日
【開催時間】午前10時~午後4時まで(入場は3時まで)
【会 場】天体望遠鏡博物館 校舎2階 旧:音楽室
【料 金】入館料に含まれています。
大人300円/高校・大学生200円/小中学生100円/就学前児童無料
【展示点数】約20点
オリオン座大星雲M42
オリオン座の胴にあたるところに二等星の三ッ星が斜めに並んでいますが、そのすぐ下にも4~5等の小三ッ星が縦に並んで見えます。その中央の星付近に肉眼でもぼうっと見えているのが有名なオリオン座大星雲です。双眼鏡ではその広がりを確認できます。大口径の望遠鏡で覗くと視野一面に広がる星雲の迫力に圧倒されます。写真にも良く写るので、標準レンズでの固定撮影でも楽しめます。
【撮影データ】タカハシTSA-102 816mmF8(TOAレデューサー使用 610mmF6.0) IDAS LPS-P2FFフィルター EM200Temma2Jr
キヤノンEOS Kiss X2 LT(IDAS SEO IR改造) 露出3分×16コマ 総露出48分 ISO800
ステライメージ7、PhotoshopCCにて画像処理 撮影地/高松市
北アメリカ星雲(NGC7000)
はくちょう座の一等星デネブの近くにある散光星雲で、北米大陸そっくりの形から名づけられています。すぐ東隣の散光星雲は、ペリカン星雲と呼ばれていますが、こちらもそっくりですね。これらの赤い星雲は肉眼では感度が低い光のため、なかなか見えづらいですが、天体用に改造したデジカメでは良く写ります。
【撮影データ】タカハシFS-60CB 355mmF5.9(レデューサーC0.72×使用 255mmF4.2) EM200Temma2Jr キヤノンEOS 6D (HKIR改造) 露出3分×16コマ 総露出48分 ISO1600
ステライメージ7、PhotoshopCCにて画像処理 撮影地/三木町
プレアデス星団M45
おうし座にある散開星団で、和名はすばる(昴)の名でよく知られています。肉眼でも5,6個の星がぎゅっと集まったように見えることから「統(す)まる」が転じてすばるになったとのことですが、他にもごちゃごちゃぼし、六連星(むつらぼし)など地方ごとに呼び名があります。双眼鏡または低倍率の望遠鏡での観望はいつ見ても楽しいものです。写真で露出時間をかけると青白いガスに包まれている様子が写ってきます。
【撮影データ】Kowa PROMINAR 500mmF5.6FL (TX07使用 350mmF4.0) タカハシP2Z
キヤノンEOS Kiss X4 (スターショップIR改造) 露出5分×7コマ 総露出35分 ISO1600
ステライメージ7、PhotoshopCCにて画像処理 撮影地/三木町
上弦の月
月齢8.2の半月です。望遠鏡ではクレーターなどの複雑な地形がよくわかる上弦、下弦の頃が見頃です。欠け際を高倍率でしばらく眺めていると、刻一刻と見え方が変化してきて飽きることなく楽しめます。写真では高倍率のコンパクトズームや望遠鏡とスマホカメラの組み合わせでもよく写ります。
【撮影データ】 タカハシMT-160 1000mmF6.25(コレクターレンズ使用 f.l.1330mmF8.3)EM200Temma2Jr
キヤノンEOS kiss X2 露出1/30秒 ISO200
PhotoshopCCにて画像処理 撮影地/高松市
天体望遠鏡博物館スタッフの岡村と申します。
こちらの部屋では私の撮った拙い天体写真を展示しています。
固唾を呑んで見ていたアポロ11号月面着陸にはじまり、天文・星に興味を持ち出してから早いもので半世紀近くにもなりました。中学生のときに口径6cmの小さな望遠鏡を買ってもらい毎晩のように月や惑星を眺めていましたが、ある日、書店で天文雑誌を見つけて買ってみると、「読者の天体写真コーナー」というページに太陽・月・惑星のみならず、見たこともない美しい星雲・星団、彗星の写真が掲載されていました。しかも、自分と同年代の中高生の応募作品も多く、写真や記事を繰り返し読み漁っては、いつかは自分もこんな写真を撮ってみたいと思いながら、天文、特に天体写真に熱中していったものでした。
天体写真の魅力とは何でしょう? 私は目に見えない微かな光まで蓄積し、画像として記録することで、ビッグバン以降の宇宙のさまざまなカタチを知ることができ、数千万光年先の彼方まで想像を膨らませていくことができることにあると思っています。また、ほしぞらを眺めると天の川など星以外のところは色がないように思われますが、大望遠鏡で撮った写真などで分かるとおり、実際は意外とカラフルで変化に富んだ姿が楽しめます。
でも、天体写真って難しそう・・と思っている人も多いと思います。確かに少し前まではそれなりの機材とスキルが必要でしたが、最近のデジカメの進化はもの凄く、手持ちでも星座が撮れるカメラやズームしただけで月のクレーターや土星の輪まで写ってしまうものまであります。また、望遠鏡やカメラを少しいいものを揃えて本格的に撮ったものは、小型の機材でも4~50年前に世界一の大きさを誇ったパロマー山望遠鏡で撮った写真をも凌ぐ作品づくりさえ可能です。
もちろん、作品として鑑賞に値するような写真を撮るにはノウハウも天文知識も少々必要になりますが、まずは星が写ること自体の面白さを味わってみてください。私も経歴だけは長いですが、天体写真を撮ること自体が楽しく、作品として完成させることに執着がなかったので、これまで天文雑誌への応募や写真展への出品もしたことがなく、いつまでたっても初心者から抜け出せない状態です。今回、博物館で作品を展示する機会をいただきましたので、撮り溜めた写真からピッアップしてプリントしてみました。雑誌に載っているレベルからすれば稚拙なものばかりですが、天体の紹介写真として見ていただければ幸いです。
もし、天体写真に興味を持たれたなら、まずはカメラを空に向けてみてください。はじめの一歩を踏出してみませんか? 博物館のスタッフも応援しますので何でも聞いてみてください。