香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
日 時:2018年7月21日(土) 16:00~21:00
会 場:天体望遠鏡博物館及び体育館 香川県さぬき市多和助光東30番地1
対 象:小学生以上
参加費:大人300円,学生児童は無料
募集定員:約120名
参加申し込み:多数のお申し込みありがとうございます。7月20日18時をもって予約申し込みは終了いたしました
16:30~17:40
講演Ⅰ宇宙の音を聴く-神岡地下からの挑戦 -
講師:宮川 治 氏 東京大学宇宙線研究所 助教
18:00~19:00
講演Ⅱ人間の遺伝子から歴史を読み解く
講師:西川 伸一 氏 オール・アバウト・サイエンス・ジャパン代表理事
19:00~19:20
「講演を振り返って」
パネラー:西川 伸一・宮川 治・村山 昇作
19:30~21:00
天体観望会 「夏の星座と上弦の月,木星,土星,火星を楽しもう」
宮川 治 氏
2002年 東京大学理学系研究科博士課程修了。同年 米国、カリフォルニア工科大学に移り重力波検出プロジェクトLIGOに参加。LIGOの干渉計光学設計や量子干渉計などに関わる。2008年 日本に帰国、現在は東京大学宇宙線研究所助教。岐阜県飛騨市に建設中の日本初の大型低温重力波検出器KAGRAに立ち上げ当初から関わる。富山県富山市在住。 専門は重力波物理学。重力波検出実験、特に干渉計設計及び制御を得意とする。
西川 伸一 氏
1973年京都大学医学部卒業。京都大学結核胸部疾患研究所で7年医師として31歳まで勤務。その後基礎医学に転身。 1980年ドイツ ケルン大学遺伝学研究所に留学。1987年より熊本大学医学部教授、1993年より京都大学大学院医学研究科、分子遺伝学教授を歴任。 2002年京都大学を退職し、理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター副センター長および幹細胞研究グループディレクターを併任。2013年、あらゆる公職を辞し、NPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパンを設立、代表理事に就任。専門は、幹細胞研究。
7月21日(土)開催予定の天体観望会に関して,当夜見える天体等をご紹介します。
夏至を過ぎたとはいえ,空が暗くなるのがまだまだ遅い時期です。
半月を過ぎた月は青空の中でも見えていますが,他の星々はもう少し空が暗くならないと見えてきません。そんな中,一番星となり得るのは西空に-4等という明るさで,宵の明星としてひときわ目立っている太陽系第2惑星の金星です。
金星は地球の軌道よりも内側を好転する惑星です。そのため,地球との位置関係により満ち欠けをして見えます。この日の夕刻に見える金星は,奇しくもこの夜の月と同じような形に見えています。月と金星,全くの別物ですが,同じように見えるところ,違う見え方をするところ,たくさん見つけ出してみてください。
それでは,この2つの天体に望遠鏡を向けて覗いてみましょう。
まず月ですが,月面を天体望遠鏡で見るには,半月前後の頃合いが一番よく見えると言われています。というのも(太陽からの)光が横方向から月に当たっているのを見ることになるため,欠け際を中心に,凸凹の様子が非常にコントラスト良く見えてくるのです。
望遠鏡の低倍率では月全体の様子が,倍率を上げるとクレーターや海とよばれる平原にあるシワなどの詳しい様子が見えてきます。じっくりとのぞき込んで,地球に一番近い天体の詳細を観察してみてください。
なお,この月が満月になる7月28日(土)には本年2回目となる皆既月食が見られます。この月食の欠け初めは午前3時24分。真夜中に始まる天文現象です。そして,全部欠けてしまった皆既の状態で夜明けを迎え,地平線下へ沈んでいきます。
続いて金星です。月が地球に一番近い天体だとしたら,金星は二番目に近い天体といえるでしょう。金星は,分厚い二酸化炭素の大気に覆われているため,表面の模様はほとんど見えません。ただ白く輝くのみです。凸凹が強烈に見える月とはずいぶんと違いますね。
地球から月までの距離は約38万km。一方(当夜時点での)金星までの距離は約1億3千万km。ざっと300倍の違いがあります。
宵の明星となっている金星ですが,のんびりしていると山が迫って見えなくなってしまいます。早めに観察してくださいね。
さて,空もじんわりと暗くなってくると月のすぐ右下(南西)に明るい星が見えるようになります。観望の絶好期となっている木星です。
木星は太陽系第5番目の惑星であり,太陽系の中で最大の惑星でもあります。大きさは地球のおよそ11倍。運動会で子どもたちが競技で使用する赤玉白玉の大きなボールがありますよね。あの赤玉を太陽に見立てると,木星は夏みかんほどの大きさ。その夏みかんが赤玉から560m離れたところを回ってるという感じです。縮尺を小さくして説明しましたが,イメージしていただけるでしょうか。
その木星を天体望遠鏡で覗いてみると,低倍率では木星本体の左右に4つの小さな星が見えてきます。木星の周りを回る衛星です。木星には現在69個の衛星が確認されていますが,そのうちの大きくて明るい4つの衛星が見えているのです。ガリレオ・ガリレイが発見したということで『ガリレオ衛星』と呼ばれています。
少し倍率を上げてみると木星表面に縞模様が数本見えてきます。木星はガスでできている惑星で,表面は激しい乱気流が存在しています。そのガスの上昇気流や下降気流が縞模様をつくり出す要因となっています。また,大赤斑(だいせきはん)と呼ばれる目玉のような楕円形の模様も有名なのですが,残念ながら当夜は向こう側に位置することになり,見ることはできません。
その替わり,ガリレオ衛星の一つ,イオが木星の前を通過しています。じっくりと木星面を見ていると,もしかしたら観察できるかもしれません。
そして月の左(東側)には,赤い一等星アンタレスを含むさそり座が見えています。夏の代表的な星座の一つ,さそり座の形,おわかりになるでしょうか。月の明るさに邪魔されて,多少見えにくくなってはいますが,特徴的なさそり座の形をぜひたどってみてください。
さそり座の左(東)に明るい星が見えています。1等星よりも明るいマイナス等級の土星です。
観望会ではダントツ一番人気の太陽系第6番目の惑星。木星に次ぐ大きさを誇ります。土星にはご存じのように環(わ)があります。土星の環は,ほとんどが氷と小石でできていると考えられています。その厚みは20m以下と言われています。土星本体と比べるとものすごい薄さです。
望遠鏡で土星を覗く人の多くは,神秘的な姿への驚きとともに,「小っさ」と言われます。なるほど望遠鏡で覗く土星のイメージは,それほど大きくはありません。それでも,環や衛星もしっかりと見ることができます。
土星には現在62個の衛星が見つかっています。そのうちの明るい衛星がいくつか見えてきますが,もっとも大きくて明るい衛星であるタイタンが小型の望遠鏡でも見ることができます。タイタンは太陽系でも2番目に大きな衛星で,なんと惑星である水星よりも大きいのです。
金星,木星,土星と惑星が続いてきましたが,いよいよこの夏の主役である火星が大接近を迎えます。
火星の公転周期(太陽の周りを1周する期間)は約687日。火星が太陽の周りを一周する間に地球は約2周します。この公転周期の違いから,地球と火星は約2年2か月ごとに近づき合って距離が近づきます。火星の軌道はかなりの楕円形なので,軌道のどこで地球と接近するかによってお互いの距離が大きく違ってきます。今回のような大接近のときには5700万kmほどまで近づきますが,小接近のときには火星と地球間の距離は1億kmも離れていたりもします。
火星の大きさは地球の半分ほど。それほど大きな惑星ではありません。地球のお隣の惑星といっても,その小サイズのために大接近や中接近のときでないと十分な観察はできにくいわけです。そいうい意味で今季は火星観察の大チャンス。地球に近い分,明るさもバツグンで木星や土星に負けていません。火星も倍率を上げて表面の模様を観察してください。
火星の北極と南極には,『極冠』(きょくかん)と呼ばれる白い部分があります。火星の自転軸は25度ほど傾いているため,火星には地球に似た四季の変化があります。極冠は季節による気温の変化によって大きくなったり小さくなったりします。今回の最接近の頃には,南極冠が地球からよく見える方向に向いています。ただし,火星の南半球は地球の北半球と同じ夏となっているので,どれくらい南極冠が見えるかは不明です。観察して,確かめてみてください。
惑星ばかりに主役の座を奪われてしまうかもしれませんが,天頂には,ベガ,デネブ,アルタイルの3つの一等星が形作り『夏の大三角』が見えています。夏を代表する星座は,さそり座の他にもたくさんあります。月明かりの影響で暗い星々は見えにくくなっていますが,その分,一等星や明るいほしだけが浮かび上がる感じで,星座の形はたどりやすくなるかもしれません。
はくちょう座,わし座,こと座も忘れずに目にとめておいてみましょう。
他にも,M13球状星団やM57ドーナツ星雲,M17白鳥星雲など,特徴的な星雲星団も見えています。関心のある方はリクエストして,天体望遠鏡を向けてもらってみてください。
※ 当ページ中の星図は,アストロアーツ社製ステラナビゲーター10で作成しています。
天体画像は,どれも小型の天体望遠鏡で撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように加工してあります。