香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
【日時】2019年3月9日(土)19時00分~20時30分 (受付18時45分~)
【内容】19時00分からオリエンテーション後、19時15分前後から天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】:大型望遠鏡数台、中型望遠鏡10台程度、大型双眼鏡数台、小型双眼鏡40台程度
【参加費】大人300円、大学高校生200円、中学小学生100円、就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【参加申込】*このイベントの参加予約受付は3月7日23時23分にて終了致しました。
【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション(教室内)
・本日の天体望遠鏡の味わい方(教室内)
・天体望遠鏡の見方・使い方説明(教室内)
・双眼鏡の使い方説明(教室内)
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明(教室内)
・双眼鏡・天体望遠鏡の操作練習(校庭)
【雨天・曇天時の内容】
・天体望遠鏡の操作体験
・天体模型を使った観望疑似体験
・シュミレーションソフトを使った今夜の天体紹介
・会員の話など
当日の状況に合わせて開催しています。
当日の予約キャンセルは連絡不要です。
【当日の星空】
まだ空に青みが残る夕方,西空には細い月が見えています。空が暗くなる頃には山の向こうに沈んでしまうので,今夜の月をきちんと見るなら青空をバックに見つけ出した方がいいかもしれません。
さて,観望会の始まる午後7時頃の夜空の様子を見てみましょう。
下の星空の図をご覧ください。
午後7時の南方面の星空です。暦の上ではもう完全に春なんですが,星空の方はまだ,この時間帯ではオリオン座やおうし座,ふたご座などの冬の星座たちが南空に高く見えています。
夜空には21個の一等星がありますが,そのうちの8個が冬の夜空に見えています。どんな一等星があるか言えますか?
オリオン座のベテルギウス,リゲル。おうし座のアルデバラン,ふたご座のポルックス,こいぬ座のプロキオン,おおいぬ座のシリウス,ぎょしゃ座のカペラ。そしてりゅうこつ座のカノープスの8個です。このうち,全天一明るい一等星シリウスとオリオン座の赤い一等星ベテルギウス,そしてこいぬ座のプロキオンの3星がつくる逆さの正三角形が『冬の大三角』です。まずは準備運動として,この冬の大三角を見つけておきましょう。
それでは,西の方からいくつかの天体を紹介していきます。
天頂やや西寄りに高く,ぼんやりした天体が一つ見えています。おうし座の『すばる』です。『プレアデス星団』という名前も持つ星の集まりです。平安時代に清少納言が枕草子の中で「星はすばる・・・」と記しています。どういうことかというと,まあ普通に「数ある星の中でもすばるが良い・・・」ということです。昔の人も注目していたんですね。
すばるは比較的若い星の集まりで,誕生してからまだ数千万年しか経っていない星々です。数千万歳でも若いってすごいことですよね。距離は約400光年。比較的近いところにある天体です。
通常の視力の良い人であれば肉眼でも5~7個程度の星を数えることができると言われていますが,実際にご自分の目で確かめてみてください。
すばるを見るには双眼鏡を使うのが一番です。天体望遠鏡では倍率が高く,視野いっぱいに星団が広がり過ぎておもしろみに欠けてしまう印象があります。下の円形の写真は,15倍程度の低倍率で見たときのすばるです。すばるの全体像が見えます。
次に,おうし座から少し南の方に目を向けて,冬の代表NO.1的な星座であるオリオン座を見てみましょう。オリオン座は,赤っぽいベテルギウスと青白いリゲル,その中間に3つの2等星が斜めに並ぶ特徴的な形をした星座で,初心者でも簡単に見つけることができる星座です。
まずは,オリオン座で目立つ赤と青白の2つの星,ベテルギウスとリゲルです。それぞれ,『平家星』『源氏星』という和名を持っています。平家の旗色が赤,源氏の旗色が白ということと,中間の3つ星をはさんで対峙してるかのようすから,そう名付けられたのではないかといわれています。
ベテルギウスは太陽の900~1000倍とムチャクチャに大きく膨れあがっていて,星の終末段階にあって,いつ爆発してもおかしくない状況にあります。
一方リゲルは,こちらは太陽の80~90倍の大きくて若い星。リゲルは伴星といって,リゲル本星の周りを公転する小さな恒星をお伴にもっています。こうして近接して見える2つの恒星を『二重星』といい,二重星には,見かけ上,2つの星がたまたま近くに見える『重星』と,お互いの引力によって公転し合っている『連星』とがあります。リゲルはこの連星の方です。倍率を多少高めにして覗くと明るいリゲル本星の横に,小さくかすかに伴星が見えてきます。
オリオン座の三つ星の下(南)には,『オリオン座大星雲』と呼ばれる星雲があり,肉眼でもボンヤリと見えています。この付近には星間ガスが大量にあって,今まさに星が誕生しつつある場所だといわれています。天体望遠鏡を使ってこの星雲を拡大してみると,中心部に『トラペジウム』と呼ばれる4つの恒星を観察することができます。この星雲付近で誕生したばかりの赤ん坊の星々です。
低倍率でオリオン座大星雲の全体像を,そして少し倍率を上げて中心部のトラペジウムを観察してみてください。
オリオン座の左下(南東)方向に目を向けると,明るく目立つ一等星のシリウスが見つかります。シリウスは地球から近い距離にある恒星の一つで,そのために太陽に次いで(恒星の中では)2番目に明るく見える星です。古代エジプトでは,ナイル川の氾濫を知らせてくれる星として貴重な存在でもありました。
このシリウスの左上(北東)方向には,こいぬ座の一等星プロキオンがあります。ベテルギウス,シリウス,プロキオンの3星を結んでできる三角形が『冬の大三角』。冬の特徴的な星の並びの一つです。望遠鏡を並んで待つ間にでも,逆さ三角をした大きな三角形を見つけてみてください。
冬の星座や天体をじっくり味わっていると,そろそろ春の星座たちも見やすい位置に来る頃だと思います。春の星座の代表格はの一つである『しし座』が,プロキオンの左,東空に高く見えてきています。
星占いの12星座にも登場するしし座ですが,実はかっこいい百獣の王ライオンのしし座ではなくて,人を食べるお化けライオンなんです。ネメアという谷に住むこのお化けライオンですが,大神ゼウスからの命令を受けたヘラクレスによって退治されてしまいます。しし座という名前からの浮かぶイメージとは違って,あまりかっこいい話ではなさそうです。
春の星空には一等星が3個。そのうちの一つがしし座の『レグルス』です。レグルスとはギリシャ語で(小さな)王という意味があります。また,獅子の心臓という意味もあるそうです。
獅子の心臓がレグルスであるとされるように,この辺りがライオンの胸になります。ということはそのもっと上が頭。クエスチョンマークを裏返したように形取れるところが頭ですね。すなわちしし座のライオンは右(西)を向いています。
とすると,レグルスの少し左(東)に後ろ足があります。
この後ろ足の部分に,たいへん遠くにある『系外星雲』(銀河系の外側にある銀河)が見えます。『M65』『M66』『NGC3628』の3つの星雲(下の画像)です。距離は約3500万光年。私たちの銀河系の直径がおよそ10万光年といわれていますから,銀河系の大きさの350倍ほどの遠さにある天体であるわけです。そんなに遠くにある天体ですから,暗くてボンヤリとしか見えません。目をこらしてじっくりと望遠鏡をのぞき込んでみてください。
春の星座がある方向は,私たちの銀河系の中でも,特に恒星が少ない方向であるため,こうした遠くの銀河が恒星の光に邪魔されずに見えているのです。おとめ座やかみのけ座には,この3つの系外星雲以外にも,遙か遠くの系外星雲がたくさん見えています。まあ,遠すぎて暗すぎて,小さな望遠鏡ではわかりにくい天体ばかりですけどね。
こいぬ座プロキオンの東側にしし座は見えているので,冬の大三角から続けてしし座も見つけておきましょう。
最後に,星座ではありませんが春の星空の主役として『北斗七星』を外すわけにはいきません。北斗七星は,おおぐま座の一部で,”ひしゃくの形”はあまりにも有名です。ひしゃくの先から数えて4番目の星以外の6つの星は2等星であるため,比較的明るく特徴的な形とともに見つけやすいものです。また,北斗七星を有名にしているものに,ひしゃくの先から1番目と2番目の星を結んで,5倍ほど延ばすと北極星が見つかることがあげられます。ぜひ一度確かめてみてください。
それから,ひしゃくの柄先から2番目の星は『ミザール』と呼ばれる星で,肉眼でも確かめられるといわれている二重星です。昔は兵隊さんの視力検査に利用されていたそうです。果たして2つの星に見えるでしょうか。ミザールは,重星なのか連星なのかはまだ明確にはわかっていません。
北斗七星の柄の部分(曲線)をひしゃくと反対方向に,曲線の曲がる方向に延長すると,うしかい座の一等星アークトゥルス,さらに延長するとおとめ座の一等星スピカに当たります。この大きな曲線を『春の大曲線』といいます。下の図は,午後8時半頃の北から東方面の星空ですが,この時刻ではうしかい座もおとめ座もまだ山にかくれていて,春の大曲線の端から端までは見えなさそうです。
☆★今回の観望会で見てみたい天体リスト
細い三日月,おうし座,オリオン座,ふたご座,(カノープスを除く)冬の一等星7つ,リゲル(と 伴星),
冬の大三角,すばる,オリオン座大星雲,しし座,しし座の銀河系外星雲,北斗七星,ミザール
※星図については,アストロアーツ社製StellaNavigator10で作成しています。