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11月夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2019/11/02
更新日:2019/09/17

【日時】2019年11月2日(土)19時00分~20時30分 (受付18時30分~)
【内容】19時からオリエンテーション後、19時30分ころから天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】:大型望遠鏡数台、中型望遠鏡10台程度、大型双眼鏡数台、小型双眼鏡40台程度
【参加費】大人500円、大学高校生400円、中学小学生300円、就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【参加申込】予約受付は終了しています

【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・双眼鏡の使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明
・双眼鏡・天体望遠鏡の操作練習

【雨天・曇天時の内容】
・天体望遠鏡の操作体験
・天体模型を使った観望疑似体験
・シュミレーションソフトを使った今夜の天体紹介
・会員の話など
当日の状況に合わせて開催しています。
当日の予約キャンセルは連絡不要です。

11月2日(土)の天体観望会で見える星空やおすすめの天体を紹介します。

 この夜の天体観望会の受付は午後6時半。その時刻には空はかなり暗くなっています。
 オリエンテーションが終わって観望開始となるのは午後7時半。南西の空には月齢5のバナナ形の月が見えているはずです。でも,その月は山の稜線にかかりかけているかもしれません。月を見ておきたい方は,準備された天体望遠鏡に速攻で並んでみましょう。
 ちょっとおもしろいのは,その月のすぐ上に土星がぴったりとくっつくように見えていること。もちろん肉眼でもわかります。とにかく早く見ないと,月と一緒に土星も沈んでしまいます。
 『まず最初に月と土星を見る。』※月と土星,順番は逆でも可です。
 今回の天体観望会は,このスタートがおすすめです。

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☆月のすぐ近くに土星が見えています。

 見えている月はまだ細めの月。アポロ11号で人類が初めて月面に着陸した場所である『静かの海』が,半分ほど見えている状況です。月の模様でいうと,うさぎの頭が半分ほど見えているお月さんです。
 うさぎの餅つきの全体像を確かめることはできませんが,細い月は,クレーターや海と呼ばれる平地が,コントラスト高く,とても明確に見えます。低倍率では月の全体が,倍率を上げるとクレーター等の詳しい様子が見えてきます。今,覗いている天体望遠鏡が何倍くらいの倍率で見ているか,ぜひ尋ねて把握しておいてください。そして,倍率の違いによる月面の見え方の違いも確かめてみてください。
 また,倍率の違いだけでなく,望遠鏡の種類や(口径の)大きさによって見え方にどんな違いがあるか,意識しながら覗いてみるのもおもしろですよ。

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 十分に月を観察したら,次は土星です。

 太陽系第6番目の惑星である土星。輪っかのある惑星として有名な,観望会では絶大な人気を誇る天体です。天体望遠鏡で土星を見た人の多くから,『これ本物ですか?』とか『図鑑に載ってるのと同じ!』,『貼ってある絵を見ているのでは?』みたいな感想をもらえます。それくらいインパクトのある,宇宙の神秘さを感じ取ることができる天体でもあります。
 土星の大きさは地球のおよそ9個分,木星に次ぐ太陽系2番目の大きさです。
 月までジャンボジェット機で行くと約2週間ほどかかります。それと比較して,土星までジェット機で行くとすると140年ほどかかります。月までとの距離感の違い,実感していただけますか?
※ちなみに惑星探査機で土星までは,今の技術では6~7年で到着できます。

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☆土星:天体望遠鏡を使うと輪っかもしっかりと見えます。

 土星本体のそばには,木星ほど目立ってはいませんが,いくつかの衛星も見ることができます。望遠鏡で見える土星の衛星の中で一番明るいのはタイタンとよばれる衛星です。タイタンは太陽系で2番目に大きな衛星で,液体の湖の存在が確かめられていて,生命の存在もささやかれている天体でもあります。そんなことも意識しながら望遠鏡を覗くと,宇宙の不思議さをより一層感じることができるのではないでしょうか。土星を見たら,近くにある衛星のうち,どれがタイタンなのか質問してみてください。ちなみに土星の近くにある星々(他の衛星や恒星)の中で一番明るいのがタイタンです。

 急ぎ足で月と土星を見た後は,じっくりと秋の星座や天体を見て回りましょう。

 まず,空全体を見上げてみると11月といっても,天頂から西寄りに『夏の大三角』がまだ見えています。こと座の一等星ベガ,わし座の一等星アルタイル。この2星は七夕の物語の星です。それと,はくちょう座の一等星デネブ。この3つの星で形作られる夏の大三角。秋も深まる頃の夏の星です。旬も過ぎて季節外れの少し寂しげな印象もあるでしょうか。
 夏の大三角の中にある『ドーナツ星雲』や『あれい状星雲』なども,もちろん見えています。夏の観望会で見損ねてしまった方,大丈夫です。リクエストして,夏に覗き忘れた天体も見ておいてください。

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☆M57:こと座にあるドーナツ星雲

 さて,秋の星空には一等星が一つしかありません。南の空のそれほど高くない場所に,一つ明るい星が光っています。みなみのうお座のフォーマルハウトという一等星です。フォーマルハウトの意味は『大きな魚の口』。名前の通り,みなみのうお座の口の辺りにあります。この,みなみのうお座という星座は暗い星ばかりで構成されているので,星座の全体の形を追うことがかなり難しい星座です。ここでは,とりあえずフォーマルハウトを見つけておくことだけにしておきましょうか。

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☆秋空唯一の一等星フォーマルハウト

 反対に見つけやすい星座もあります。北東方向に高く見えているカシオペヤ座。Wの形で見つけやすく,北極星を見つけるための星座としても有名です。
 そしてペガスス座。『秋の四辺形(四角形)』ともいわれる正方形に近い大きな四角形が目印です。場所はほぼ真上に近いところ。この四角形を構成する4星は2等級から3等に近い星なので,それほど目立つ星並びではないのですが,周りに明るい星がないため,明るくないわりに見つけやすい星座かもしれません。

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☆北東の空から天頂にかけて:カシオペヤ座・アンドロメダ座・ペガスス座

 ここで少し神話のお話。『エチオピア王家の物語』を紹介しましょう。
 古代エチオピアにアンドロメダという名の姫がいました。アンドロメダはエチオピア王のケフェウスとその妃であるカシオペヤの間に生まれた美しい王女で,その美しさゆえ,母親のカシオペヤは娘の自慢ばかりをしていました。そして,海の妖精であろうとアンドロメダの美しさにはかなわないだろうと口をすべらせたことで,海神ポセイドンの怒りをかってしまいます。怒ったポセイドンは巨大くじらをエチオピアの海岸に差し向けました。くじらといっても,ただ大きいだけのくじらではありません。恐ろしいつめの生えた手が2本,鋭い牙が生え並んだ口,その口から海水を吐くだけで大津波が起こるという怪物です。国王ケフェウスが困ったあげく神様に相談にいくと,それはカシオペヤの自慢話が原因であることがわかり,海神ポセイドンの怒りを抑えるには,王女アンドロメダをお化けくじらの生け贄にささげるしかないと告げられたのです。もちろん,王はかわいい娘を差し出すことをためらいます。しかし,その話を知った国民がアンドロメダ姫をさらい,両手に鎖をかけて岩に縛り付けてしまったのです。
 岩にくくりつけられたアンドロメダ姫を見つけて,お化けくじらがやってきました。アンドロメダ姫が恐怖のあまり気を失いかけたそのとき,白い天馬(ペガスス)に乗った一人の若者が大空から舞い降りてきたのです。勇者ペルセウスです。ペルセウスは袋からメドゥーサの首を取り出し,お化けくじらにその顔を向けました。なにしろ顔を見たものは全て石になってしまうというメドゥーサの首ですから,お化けくじらといえどもひとたまりもありません。あっさりと石になってしまい,海に沈んでいきました。
 ペルセウスはアンドロメダ姫に一目惚れし,結婚を申し込みます。また,ケフェウス王もペルセウスの勇敢な姿にすっかりほれこんでしまって,娘との結婚を承諾しました。

 いかがですか,この話に出てくるケフェウス,くじら,ペルセウス,アンドロメダ,カシオペヤ,全て星座として揃っているのが秋の星空の特徴の一つだったりします。単純なストーリーですが,秋の空に物語が展開されていると感じると,とても壮大ですよね。おもしろと感じる方は関連図書も多く出ています。ぜひ探してみてください。

 それでは,それぞれの星座の中にある見て楽しめる天体をいくつか紹介していきましょう。

 まず,秋に見やすい天体として有名なものにアンドロメダ座大星雲(以下M31)があります。
 ペガスス座の四角形の4つの星のうち,一番北にある恒星は,実はアンドロメダ座に属する星でもあります。アンドロメダ座はペガスス座から北東方向につながるように並ぶ星座。その星座の中にM31はあります。M31は,私たちの太陽系が属する『銀河系(天の川銀河)』の外にある銀河(系外星雲)の一つで,銀河系よりも一回り以上大きな銀河とされています。距離は250万光年。見かけの大きさは,なんと満月5個分の大きさがあります。ただ,銀河の渦巻きの周辺部は淡く薄いので,望遠鏡や双眼鏡ではM31の明るい中心部しか見えてきません。そのため月の5倍ほどには大きく感じない天体です。明るさは4等級,『肉眼で見える最も遠い天体』です。

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☆M31アンドロメダ座大星雲:これは写真です。望遠鏡では中心の明るい部分が見えます。

 また,アンドロメダ座には美しい二重星があります。アルマクという名の二重星で明るさは2等級。青色とオレンジ色の色の対比が美しい二重星です。肉眼ではわかりませんが,望遠鏡を使って少し倍率を上げて見てみると,2星が分離して色の具合もよくわかってきます。この二重星は実際に2つの恒星が公転し合ってる『連星』です。
 似たような色の組み合わせのアルビレオという二重星がはくちょう座にあります。こちらも有名ですが,アルマクの方が,より接近し合ってるせいか色が濃く感じられる気がします。

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☆アルマク:これは写真ではなくてイメージです。

 次にペルセウス座の二重星団。どちらかというとカシオペヤ座の方からが見つけやすい天体ですが,ペルセウス座に属します。恒星がたくさん集まった散開星団が2つぴったり並んでいます。星の密集度もそこそこあって,とても見応えがあります。低~中倍率で見ると2つ並んだ星団を同時に見ることができます。じっくり観察していると,数ある星々の中に赤やオレンジの星がいくつか見えてきて,非常に美しい天体です。

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☆ペルセウス座の二重星団

 まずは,M31,アルマク,二重星団と紹介してきましたが,その他にもペガスス座にM15というボール状に星が集まった『球状星団』があります。大きな天体ではありませんが,大口径の望遠鏡で覗くと星々がツブツブに分かれて見えてきて迫力があります。一つの球状星団には数十万個以上の恒星が集まっているといわれていますが,実はどれも高齢の星々です。どうしてこんな天体ができたのかは,詳しくは解明されていません。

 最後に,天体観望会ではあまり観察することの多くない惑星も紹介しておきましょう。
 土星が西に傾いてしばらくすると,太陽系第8番目の惑星である海王星と7番目の惑星である天王星が順に高度を上げてきます。それぞれ8等級と6等級と明るくはありません。その上,近くに目印となる星が少ないので,天体望遠鏡に導入するのは容易ではないのです。もし,うまく導入できた望遠鏡があればぜひ観察してください。※スライディングルーフ内の大型望遠鏡はコンピュータが制御して天体を導入するので,観察しやすくなっているかもしれません。
 天王星,海王星はかなり遠い天体のため,木星や土星ほど大きく惑星らしくは見えません。一般の恒星よりもちょっと大きいというレベルです。特徴としては『青み(青緑)がかっている』ことです。

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☆秋の星座たちと海王星,天王星の位置

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☆天王星:青っぽく見えるのが特徴。大きくは見えません。

 今回の観望会も終わりが近づく頃,東の空にはすばる(M45,プレアデス星団)が見えてきます。冬の星空も顔を出してくる時期になったということですね。

以上,この天体観望会で見ておきたい主な天体を紹介しましたが,もう一度まとめておきましょう。
星座:カシオペヤ座,ペガスス座(秋の四辺形),アンドロメダ座
一等星:フォーマルハウト
星雲星団:ペルセウス座の二重星団,ペガスス座の球状星団(M15),アンドロメダ座大星雲(M31)
二重星:アルマク
夏に見頃だった天体:ドーナツ星雲(M57),あれい状星雲(M27),夏の大三角
惑星:土星,(うまく導入できれば)天王星,海王星
そして 月齢5の月

<注>
 星雲星団の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。Mはメシエの略号です。

◇◆HP中の星図は,アストロアーツ社製StellaNavigator Ver11を使用して作成しました。
  天体写真は,当博物館会員が撮影して加工したものです。
  一部,画像処理ソフトで作成したものもあります。

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