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冬のダイヤモンド

[天文現象] スケジュール:2019/11/20
更新日:2019/11/18

夏は三角、秋は四角、冬はダイヤモンドが星空の目印

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■11月も半ばを過ぎれば、先日まで華やかな紅葉に色づいていた木々の葉もすっかり落葉して、多和の里山もすっかり冬の支度も完了したかのようです。吹く風はますます寒くなりますが、夜空には冬の星座が勢ぞろいしていますので、星好きの皆さんは寒さに負けず、元気に観察をしましょう。
さて、季節ごとの星空の目印は、皆さんもすでにご存じの通り、夏には、夏の大三角。秋には、秋の四辺形。と続きますが、冬には豪華な一等星を大胆につなぐ、冬のダイヤモンドが目印になります。今の時期、夜半(午前0時)ころには勢ぞろいして、その姿をつなぐくことができます。初めてそれをつなぐとき、あまりの大きさに戸惑うこともありますが、一等星ばかりの明るい星ですから、次から迷うことはないでしょう。すべて一等星ですが、色の違いやわずかな明るさの違いを比べながら観察するのも良いでしょう。
冬のダイヤモンドの中には、非常に整った形の正三角形を容易に見つけることができます。これも、冬の目印、冬の大三角で、見慣れた、オリオン座の赤い星、ベテルギウスにつなぐだけですので、間違うことはありません。

 

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(上写真)2019年10月下旬に撮影した冬のダイヤモンド周辺 撮影地:北海道
\型の淡い光は冬の天の川  /型の淡い光は黄道光(こうどうこう) 

さて、今日は冬のダイヤモンド周辺に、星雲・星団を探してみましょう。
まず、見慣れたオリオン座の三ツ星の下、目を凝らすと、さらに小さな3つの塊を見つけることができます。小三ツ星とも呼ばれることもありますが、これの一つが、肉眼で見える最大の星雲でオリオン大星雲と呼ばれ、M42という番号が付けられています。
また、秋口より観察してきたプレアデス星団(すばる)M45はすでに、空高く淡く見えています。オリオン大星雲とプレアデス星団(すばる)は、よく晴れた空気の澄んだ日であれば、都会の空でも何とか、見えることもありますので、挑戦してみてください。

美しい暗い星空に出かけた時は、おうし座のオレンジ色が美しいアルデバラン周辺をよく観察してみてください。たくさんの星が密集しているヒアデス星団を見つけることができるはずです。
更にふたご座の下(東側)には、かに座があります。かに座の星は暗いので星座の星はつなぐのが結構、難しいはずです。暗い空では、星座より先に、細かな星の固まりがボアっと見えてくるかもしれません。これが、プレセペ星団、M44という番号です。
以上ご紹介した、星雲と星団は、低倍率での双眼鏡での観察がとても美しいです。もし、お手元に双眼鏡があればぜひ、お試しになってみてください。あるいは、望遠鏡博物館の夜間天体観望会 では各種高性能な双眼鏡を用意していますので、ぜひ、参加してみてください。
次にご紹介する、星雲星団は、大きさが小さかったり、暗かったりして、なれないうちは少し観察の難易度が高く、双眼鏡でもわずかに、これかな?と多くの星の中に埋もれるように見える程度ですが、この淡い天体を双眼鏡で探した時の喜びはなんともいえぬものがあります。もちろん、高倍率の望遠鏡で観察すると、それぞれの天体の個性が見えるのでさらに楽しいことは言うまでもありません。ここでは、すべてをご紹介することできませんが、簡単な特徴のみをご紹介しておきます。
(おおむね星図の上から下に向かってご紹介します。)
M36,M37,M78
ぎょしゃ座の散開星団。それぞれの星の密度や大きさなどの個性を見比べるのがとても楽しい。低倍率の双眼鏡では同視野に見える。望遠鏡で倍率を上げると、星の密度や大きさがそれぞれ違うことが観察できる。
M1
かに星雲。鎌倉時代に起きた超新星爆発の名残の星雲 藤原定家『明月記』に記録があるということで有名。超新星爆発直後は金星くらいの明るさになり、昼なお20日間ほど観察できたとの記録。双眼鏡では相当厳しい観察対象。望遠鏡では、佐渡島のような形が淡く見える。
M35
ふたご座の散開星団。ふたご座α星(カストル)の足元にあり双眼鏡では小さな星のとても美しい。望遠鏡では、淡い光の上に明るさの違う星がいくつも観察できます。さらに倍率を上げると淡い部分が小さな星に分解して、球状に見えるようになる。
M78
オリオン座の散光星雲。なんとなく聞いたことがある番号とお思いの方も少なくないと思うが、かの「ウルトラの星」がこれ。ただ、星ではなく、宇宙空間のガスが、近くの星の光を反射して見えるもの。双眼鏡では淡いため、条件の良い場所でもやっと、かすかな淡い雲のようなものを見つけることができるだろうか。望遠鏡で倍率を上げると、円形の星雲が見えてくる。
M67
かに座の散開星団。近くにプレセペ星団M44の華やかな星団があるため、知名度は高くないが、実は、小粒でも相当美しい。双眼鏡では、薄っすら、ほのかに輝くベールの上にばらまかれたような、いくつかの星が美しい。望遠鏡での観察は、幾重もの曲線をなす星々の集まりが、まるで宝石の造形のようで、豪華なかんむりでも見ているかのような素晴らしい光景。
M50
いっかくじゅう座の散開星団。いっかくじゅう座というよりは、シリウスとプロキオンの間と言ったほうがわかりやすいかも。双眼鏡ではいくつかの星の集まりを見つけることができるが、冬の天の川に近いため、周囲には微恒星も多くとても美しい。望遠鏡で倍率を上げると、見方によってはハート形に見えるとも言われ、家族や恋人など大切な人と観察するのもよいかもしれない。
M41
おおいぬ座の散開星団。シリウスの南(下側)指先2本分の約4度ほどのところに、比較的明るい散開星団がある。暗い空なら肉眼でも存在を確認することができるがシリウスがとても明るいので、意識しないと見過ごしてしまう。一度見つけると容易に見つけることができる。低倍率の双眼鏡なら、シリウスと同じ視野に入り、都会の空でも見つけることができる。望遠鏡で観察すると、周囲の微恒星の上にたくさんの散開星団が美しく輝く様子は、それは見事で、それぞれの色彩の違いを観察するのが楽しい。
M48
うみへび座の散開星団。プロキオンの南(下側)、肉眼でも暗い空なら、ボアっと淡く円形に見える。低倍率の双眼鏡でも、ややそれが大きく見える程度。望遠鏡を使うと、3つの明るい星の間に細かな微恒星が見えてきて、とても美しい。
M46,M47
とも座の散開星団。シリウスの東側、暗い空なら肉眼でも存在を確認できる。2つ並んだ姿が美しく、以前紹介したペルセウス座の二重星団(エイチ・カイ)になぞらえて、南天の二重星団と呼ぶ人もいるほどだ。双眼鏡では、微恒星の上に2つ並んだ散開星団が美しく、よく観察すると、その密度の違いから、荒い星団と、細かい星団を見分けることができる。望遠鏡で観察すると、その密度の違いは更によくわかり、細かいほうは、微恒星の大集団だということが見えてくる。
M93
とも座の散開星団。M46,M47をさらに南(下側)に伸ばしていくと、暗い空ならボアっとした小さいが散開星団を肉間でも確認できる。双眼鏡では、ボアっとした中に3個ほどの三角形を星並びが確認できる。散開星団であるが星の密度が高いので少し高めの倍率の望遠鏡で観察すると、にぎやかで美しい様を観察することができる。

文中の図表はプラネタリム表示用フリーソフトStellarium 0.19.1を使用しました。 (文章と図表・写真 担当:fuji  )

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