香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
[イベント] スケジュール:2021/05/15
更新日:2021/05/10
5月15日土曜日夜間天体観望会は開催中止致します
全国的に新型コロナウイルス感染症が急拡大しています。香川県でも感染者数が急増し5月8日「香川県コロナ非常事態宣言」が発令されました。5月15日(土)から当面の間、天体望遠鏡博物館を休館致します。皆様、特に来館を予定されていた方にはご迷惑をおかけ致しますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
【日時】2021年5月15日(土)19時00分~20時30分 (受付18時30分~)
【内容】19時からオリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います
【予定機材】:大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度
【参加費】大人500円、大学高校生400円、中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料
【募集組数】10組(40名程度)
【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明
【雨天・明らかな曇天時】
・開催中止に致します
*通常時は雨天・曇天時でも別プログラムにて室内開催していますが、コロナ禍が収束するまでは室内での「密」を避けるため雨天・明らかな曇天時は開催中止と致します。
*開催中止のお知らせは当日正午過ぎにホームページに掲載致しますので来館前にご確認下さい。
【参加方法】ネット予約が必要です。募集人数に達しましたので予約受付終了致しました(4月11日0時44分)
当夜は午後7時から,オリエンテーションを行ってから観望会のスタートとなります。
5月も中旬,早いものです。夏至まであと一ヶ月と少しになってきました。日没も遅くなってきています。この日の日没は午後7時少し前。オリエンテーションが終わる頃になっても,空には明るさと青みが残っていることでしょう。
観望会開始前,主な観望場所となる博物館の駐車場には数多くの天体望遠鏡が並んでいます。まだ,明るさが残るうちに,少しだけ個々の望遠鏡を見ておきませんか。
『えっ!?,星を見るんじゃなくて望遠鏡を見るの?』
そうなんです。もちろん天体観望会ですから星空を見るのがメインですが,その前に準備された望遠鏡たちに目を向けてみましょう。太短い望遠鏡や細長い望遠鏡,大きくてどっしりしているものや,片手でヒョイと持ち上げられそうな望遠鏡。いろいろ並んでいますが,どれもみな天体望遠鏡です。だけど,それだけタイプが違う望遠鏡があるということは,見え方なんかももしかしたら違いがあるのかもしれません。天体観望会ですが,ここは天体望遠鏡博物館。様々な天体望遠鏡の見え方の違いなんかにも目を向けながらの星空観察というのもおもしろいテーマになってくるかと思います。
そして,同じ天体でも異なる望遠鏡で見てみてください。見え方の違いがわかると望遠鏡の違いもわかるようになるものです。また,同じ望遠鏡,同じ天体でも,倍率をいろいろと変えて観察してみると,それもまた違った見え方をするかもしれません。倍率を変えてみて!と,リクエストしてみてください。
それでは,天体の紹介です。まだ明るさの残る空に見えているのは月齢3.6の三日月です。
※月齢(げつれい)というのは,新月のときを0として数えた経過日数。新月から満月,そしてまた新月に戻るまでの日数は約29.5日。通常,月の満ち欠けの度合いを示す数値として扱われます。
この夜は,まずこの細い月を見ておきましょう。というのも,観望会が始まった頃には,月の高度が30度ほどと低く,近くに山の稜線が迫ってきているんです。早く見ておかないと沈んでしまうってことです。
上の写真は観望会当夜と同じ月齢3.6の月です。この写真は,口径(レンズの直径)が5cmほどの小さな望遠鏡で撮影したものです。月は小型の望遠鏡でもよく見え,よく写る天体です。
小さな望遠鏡でも,欠け際付近のクレーターがとてもコントラスト良くシャープに見えます。天体望遠鏡で倍率を上げてもらって,その欠け際を左(東)から右(西)へ,詳しく観察してみてください。クレーターの内部や輪郭など,迫力ある様子を見ることができると思います。
月を見て,空が暗くなってきたら春の星座がよく見えてきてると思います。
上図は,午後8時の南から東方面の星空です。西にはまだ冬の星座たちが見えていますが,主役は完全に春の星座たち。その春の星空には一等星が3つあります。おわかりになりますか?
しし座のレグルス,おとめ座のスピカ,そしてうしかい座のアークトゥルスの3つ。この星座図を見て,どれが春の一等星か,それぞれの星座の中で明るそうな星を探してみてください。<下に正解発表してます>
一方,北の空に目をやると,春の星並びとして有名な北斗七星 が見えています。
北斗七星の柄の部分をひしゃくの部分とは反対方向に伸ばした先に,さきほど紹介した,うしかい座のアークトゥルス があります。アークトゥルスをさらに南へ伸ばすとおとめ座のスピカがあります。この北斗七星の柄の部分から,アークトゥルス,スピカと結ぶ曲線が春の大曲線。
こういった星々を結んでできる形や星座の観察には,天体望遠鏡は必要ありません。望遠鏡の近くで列を作って待つ間,いろいろな星の並びや形を見つけて楽しんでみてください。
さて,春の星座の代表的なものといえば,その一つにしし座がありますが,ちょうど南の空高く見えているので注目してみましょう。
星占いの12星座にも登場するしし座ですが,かっこいい百獣の王ライオンのしし座ではなくて,人を食べるお化けライオンなんです。ギリシャ神話に登場するこのお化けライオンは,物語の中では,国王から命令を受けたヘラクレスによって退治されてしまうことになっています。しし座という名前からの浮かぶイメージとは違って,あまりかっこいい話ではなさそうですね。
しし座にある一等星はレグルス。レグルスとはギリシャ語で(小さな)王という意味があります。また,獅子の心臓という意味もあるようです。
獅子の心臓がレグルスであるとされるように,この辺りがライオンの胸になります。ということはその少し上あたりが頭。クエスチョンマークを裏返したように形取れるところが頭ですね。このライオンは右(西)を向いているようです。一度,ライオンの全身の形を追ってみてください。
しし座のお話をしたので,そのししの後ろ足の部分にある3つの系外星雲(銀河系の外側にある銀河)も紹介しておきましょう。それぞれM65,M66,NGC3628という天体(下の画像)です。距離は約3500万光年。私たちの太陽がある銀河系(天の川銀河)の直径がおよそ10万光年程度といわれていますから,銀河系の大きさの350倍ほどの遠さにある天体です。そんなに遠くにある天体ですから,暗くてボンヤリとしか見えません。目をこらしてじっくりと望遠鏡をのぞき込んでみてください。これらの天体は,大きめの天体望遠鏡で観察するのがオススメです。
続いて,散開星団(生まれの近い恒星同士が数多く集まっている天体)M44(プレセペ)。
プレセペとはラテン語で『飼い葉桶(牛馬のエサ入れ)』という意味です。小型の望遠鏡でも30~40個以上の星を数えることができます。明るさは3.7等なので,空の暗い場所では,肉眼でもぼーっとした雲のように見ることができます。
場所はかに座。レグルスの西側(南に向かって右方向)かに座があります。そのかに座のど真ん中に,プレセペはあります。概ね散開星団は低倍率での観察が向いていて,M44も倍率を上げすぎると星の密集感が感じられなくなって,おもしろみがなくなる場合が多いかもしれません。
低倍率は,小型の望遠鏡が得意としています。大小の望遠鏡で見え方の違いにも注目してみてください。
そして,先ほど紹介した春の星空からは絶対外せない北斗七星。
天頂から北方面に目をやると,特徴的なひしゃくの形をした北斗七星が見つかります。北極星を探すために利用されるあの有名な星の並び(星座ではありません)です。
この北斗七星の柄の方から2番目にミザールという名の星があります。肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星。
※近接して見える2つの恒星を二重星といいます。二重星には,2つの星が距離的には離れているのですが,見かけ上,たまたま近くに見える(見かけ上の)重星(じゅうせい)と,お互いの引力によって公転し合っている連星(れんせい)とがあります。
ミザールは,アラビアの方では昔,兵隊の視力検査に利用されていたそうです。果たして2つの星に見えるでしょうか。視力に自信のある方は,ぜひご自分の目で試してみてください。
明るい方の星がミザールで,暗い方の星はアルコルといいます。このミザールの方を望遠鏡でアップして見ると,さらにまた二重星になっているのがわかります。この2星はお互いが2万年周期で回り合っている連星です。
最後に球状星団(多くの恒星がお互いの重力で球形に集まった天体)M3 。
うしかい座のアルクトゥールスとりょうけん座α星(コルカロリ)の真ん中あたりにあります。実際の大きさは直径は100光年以上。50万個もの恒星が集まってボール状に見えている天体。年齢も相当に古い不思議な天体です。
球状星団は大きな望遠鏡で観察するのが基本です。口径の大きな望遠鏡で倍率を高めにして観察すると,(気流や空の状態にもよりますが)一つ一つの星々がブツブツと分離して見えてきます。
スライディングルーフの中の,大口径の望遠鏡で見てみてください。
ここまで,いくつか見所となる天体を紹介しましたが,春の星空には他にも数多くの『見ておもしろい天体』がたくさんあります。ここに記しているもの以外の天体についても,博物館の担当者が望遠鏡を使って導入,そして紹介してくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体がどんな天体であるかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
また,大きな望遠鏡と小さな望遠鏡とでは見え方がかなり違ったりします。レンズを使った屈折望遠鏡と鏡を使った反射望遠鏡とでも,見え方に違いがある場合があります。倍率の違いによる見え方の違いもあります。同じ天体でも,いろいろな望遠鏡,いろいろな倍率で観察して,見え方の違いを味わってみるのもおもしろいと思います。
<注> 星雲星団の名称の頭に付く『M』記号について
フランスの天文学者シャルル・メシエは,星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。Mはメシエの略号です。
NGCは,New General Catalogの略で,アイルランドの天文学者ドライヤーがまとめた7840個の星雲・星団,銀河などが載っている天体カタログのこと。略してNGCカタログです。上記のメシエカタログよりも100年以上も後になって編集されたものであるため,収録された天体数も多く,遙かに暗いものまで含まれています。そのカタログに収録されている天体に振られているのがNGCの付くナンバーです。
☆★今回の観望会で見ておきたい天体リスト
三日月(クレーターのアップ),
春の大曲線,
しし座,北斗七星,春の一等星(レグルス,スピカ,アークトゥルス),
系外星雲(M65,M66,NGC3628),散開星団(M44),球状星団M3,
二重星(ミザール) 他
※HP中の星図,星座絵は,アストロアーツ社製StellaNavigator11で作成しています。
その他の絵図はAdobe Illustratorで作図しています。
天体画像は,博物館会員が小型の天体望遠鏡で撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように若干の加工をしてあります。