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【開催済】12月3日(土)夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2022/12/03
更新日:2022/11/20

12月3日(土)開催予定の夜間天体観望会のご案内です。

【日時】
2022年12月3日(土)
18時30分:開場・受付開始
18時45分:オリエンテーション
19時00分:観望会開始
20時30分ころ:終了予定

【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います

【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度

【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料

【募集組数】10組(40名程度)
*新型コロナウイルス感染症の状況により募集数を増加、減少させることがあります。

【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明

【雨天・明らかな曇天時】
・開催中止に致します
*通常時は雨天・曇天時でも別プログラムにて室内開催していますが、コロナ禍が収束するまでは室内での「密」を避けるため雨天・明らかな曇天時は開催中止と致します。
*開催中止のお知らせは観望会当日の正午過ぎにホームページに掲載致しますので来館前にご確認下さい。

【参加方法】ネット予約が必要です。
*募集数を超えるお申し込みがありましたので予約受付を終了致しました(2022年11月16日15時12分)

12月3日の星空案内

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冬至まであと3週間ほど。暦の上では冬のど真ん中。
冬至は,一年中で一番夜の時間が長く(昼間の時間が一番短く)なります。ところが,一番夜が長いといっても,一番早く日が沈むわけではありません。冬至となる今月22日の日の入りは16時57分。天体観望会の3日の日没は16時53分。冬至よりも3分ほど日没は早いんですね。実は,一年中で一番太陽が早く沈むのが12月初旬頃,ちょうどこの観望会の頃なんです。
そんなわけで,天体観望会のオリエンテーションが始まる19時には,当然のように空に青空は残っていません。見渡すと,明るい月といくつかの一等星,そして惑星たちが夜空をにぎわわせているはずです。
それでは,本年最終のとなる天体観望会で楽しめる星空(天体)の見どころを紹介していきましょう。

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上図は,観望会当夜19時頃に見える星空です。上下左右に記してある方位を下にして見ると,星座早見盤のように扱うことができます。

博物館に到着して受付を済ませたら,観望会開始までの時間,星空一面をぐるり~っと見渡してみましょう。
当夜は,大きく膨らんだ月が見えています。この月明かりの影響で,暗い星々はかなり見えにくくなっていると思います。上の円形星図では,暗い星を表示していません。本来なら,冬の透明度の高い夜空,暗い星も数多く見えているはずですが,この月の輝きのために主には1~3等星までしか見えにくい星空になるのではと考えます。
といっても残念がることはありません。月がある夜は,その月をしっかりと観察してみましょう。実は,博物館主催の定期観望会で月がきちんと見えるのは,本年では今回だけ。そして,月の明るさに負けない惑星たちも勢揃い中です。土星,木星,火星が観望の好期を向かえ,とても見やすい位置にきています。
そういうわけで,当夜の主な観望ターゲットは月(月面),土星,木星,火星。それと,大きくて明るめの星雲星団。これ,かなり豪華版なんですよ。
火星は少し出遅れて上がってくるので,観望会が始まってすぐの望遠鏡群は,月,土星,木星のいずれかに一斉に向けられることになると考えます。どの望遠鏡から覗いていけばいいか,思いっきり迷ってください。
では,順番に紹介していきましょう。

まずは,月!
月は満ち欠けをしますが,この月の膨らみぐらいを月齢で表します。
※月齢
月の満ち欠けの状態を示す数字で,新月から何日経過したかを表しています。新月を0として,新月からの経過日数を数字で表します。大まかには月齢が7前後であれば半月(上弦の月)頃,15前後であれば満月頃,22前後であれば下弦の月の頃,というように,月齢で月の大きさを知ることができるわけです。
この夜の月齢は10。半月を過ぎて,満月まであと5日ほどという大きな月だと判断できます。

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月は地球にとって,唯一の衛星。大きさは,地球のおよそ1/4強。小さい分,重力も小さく,もし人が月面に立つと体重は1/6程度になると言われています。体重50kgの人なら8kgほどになります。これだけ軽量になると,足取りも軽くなって,月面では歩くというよりもぴょんぴょん跳ねながら進むという感じになりそうです。
不思議な世界でしょうね。そんなことを想像しながら観望すると,一層楽しくなるのではと思います。
月の全体を観察するには,望遠鏡では低倍率がいいですね。
上のイラストは,当夜の月を示していますが,月全体を見渡すと,黒っぽい部分と白っぽい部分があるのがわかります。白っぽい部分は高地でクレーターが多い地域です。
一方,黒っぽく見える部分は海と呼ばれていて,平坦でクレーターは非常に少ない一帯です。この海の部分が,いわゆる月の模様と言われているもので,この夜は,(逆さですが)ウサギの頭,胸,腹の一部がわかるでしょうか。上の図でも,二本の長い耳が下向きに・・・,おわかりになりますか?
ウサギの胸の部分に当たるのが晴れの海。その右下の頭に当たる部分が静かの海。静かの海の左下部には,人類が初めて月面に降り立ったアポロ11号の着陸ポイントもあります。海の部分は玄武岩で覆われていて,含まれる鉄分の多さが暗く見える要因になっています。海にクレーターが少ないのは,海が高地よりも後からできた新しい地形であることがその理由です。高地は,文字通りに山地となっています。
クレーターの成因は,隕石や小天体の衝突によるものと考えられています。
低倍率で月の全体像を見たら,次は高倍率にしてクレーターの細部を観察してみてください。さらに小さなクレーターが多数見えてきたり,ひび割れたような複雑な地形が見えたりします。迫力のある月面を楽しんでみてください。
倍率を上げて月面を観察する場合,欠け際が特にコントラスト高く見ることができます。当夜,この月の欠け際にはコペルニクスという大きなクレーターが見えています。コペルニクスクレーターの直径は約90km。深さは3,700mとなっているので,このクレーターの底に立って周囲を見渡すと,富士山級の高山がぐるりと一周している感覚でしょうか。

1203_3コペルニクスクレーター

望遠鏡が発明されて,初めて天体望遠鏡を作ったガリレオ・ガリレイが,月を望遠鏡で覗くまでは,月は神の創造物なので完全な球体で表面もツルツルだと考えられていました。ガリレオは,地球と同じような山や谷やがあるその月面の様子に,非常に驚いたとされています。
望遠鏡で月面を覗くのは初めてだという方,もしかしたらこのときのガリレオ・ガリレイと同じ気持ちになれるかもしれませんね。

続いて,木星!です。
月の右側(西)で,非常に明るく輝いている木星。太陽系第5番目,太陽系最大の惑星です。
明るさは,-2.6等(一等星の10倍以上の明るさ)。この夜の観望会では,月に次いで目立っているでしょうか。

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木星の大きさは地球のおよそ11倍。そして10時間ほどで一回転します。地球は24時間で一回転。ということは,地球の11倍の巨大な惑星が地球の2倍以上の猛烈な速さで自転しているということ。そのため,生じた遠心力で赤道付近が膨らんでいるんです。じっくりと観察してみると,木星は上下(南北)の縦方向よりも左右(東西)の横方向の方に膨らんで,やや楕円形になっているのがわかるはずです。
望遠鏡で木星を覗いてみると,木星本体に数本の縞模様が見えてきます。木星は,そのほとんどがガスでできています。そのガスの大気が縞模様をつくっているわけです。
その縞模様の中に,大赤斑(だいせきはん)と呼ばれる目玉のような楕円形の部分があります。その中では台風に似た気象現象が起きているのではと考えられています。大赤斑は地球がまるごとすっぽり入ってしまうほどの大きさがあります。そう思いながら観察すると木星と地球の大きさの比較ができそうですね。運が良いことに,当夜はこの大赤斑が地球側を向いていて,条件良く観察することができます。目をこらして,ぜひ確かめてみてください。
木星本体左右(感覚的には斜め上下かも)に目をやると,小さな光点が4つほど見えると思います。この4つの星は,ガリレオ衛星とよばれる,木星の衛星の中でも特に大きくて明るいものです。当夜は,木星の左(上)側に2個。右(下)側に2個見えています。個々の名称は下図を参照してください。なお,望遠鏡によっては,下図とは左右逆,上下反対という場合がありますのでご注意ください。

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次は,土星!
太陽系第6番目の惑星です。地球の9個分の大きさを誇る大きな惑星です。また,環(輪っか)のあることで有名で,その神秘的な姿から観望会ではいつも人気No.1の天体でもあります。天体望遠鏡を使うと,その環も明瞭に見ることができます。
環は,小さな氷や小石からできていると言われています。この環は年によって傾きが違って見えます。環の幅は今後だんだん狭くなっていきます。今は,”麦わら帽子をかぶった頭”みたいな感じに見えるでしょうか。

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ただ,土星はだんだんと西側に傾いてきているので,早めに観察しておかないと山の稜線に沈んでしまうかもしれません。

そして,最接近中の火星!

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火星は地球のお隣さん,太陽系第4番目の惑星です。大きさは地球の約半分。
太陽系で,地球以外の天体に人が住むことを考える場合,その第一候補になるのが火星だといわれることがあります。
火星表面における重力は地球の0.38倍。地球上で体重50kgの人は火星では19kgになります。月面ほどではありませんが,軽々と飛び跳ねたりできそうですね。火星の一日は24時間37分で地球とほぼ同じ。この点では違和感なく生活できそう!ただ,火星には酸素がありません。重い酸素ボンベを背負わないといけません。また,火星の平均気温は-55℃。ダウンを何枚も重ね着しないといけません。ダウンジャケットは宇宙服の下?,何をどう着るか悩んでしまいますね。(^^)
とにかく,人が住むのにはちょっとたいへんそう。
火星って,工夫をすれば意外に住みやすい?いやいや,かなり住みにくい?あなたはどう感じますか?
NASAは2033年までに人類を火星に送り込むと発表しています。さて,それまでには火星の素顔ももっと詳しくわかってくることでしょう。楽しみにしたいものですね。
さて,その火星,地球との位置関係から,両惑星が近寄って観察しやすくなる時期が2年2か月ごとに巡ってきます。前回は2020年の秋だったのですが,その次の接近が今年の12月(今です!)。ちなみに今回の最接近は12月1日。当観望会の2日前です。このときの地球と火星間の距離は,約8100万km。下の図を見てください。

火星地球軌道図

近年,火星が接近したのが2018年,2020年,そして2022年となりますが,この3回の地球と火星の間の距離に注目してください。2018年や2020年に比べて,本年は若干距離がありそうです。その分,火星は小さく見えるということになります。そういう意味で,今年は大接近ではなく中接近と言われることもあります。
望遠鏡で覗いてみると,大きさは土星本体と同じくらいに見えます。表面をじっくり観察すると,赤っぽい地肌の中に黒っぽい模様が見えると思います。また,端が白っぽく見えるかもしれません。これは北極冠といわれ,ドライアイス(二酸化炭素の氷)できています。このように火星表面を小型の望遠鏡でも観察可能となるのは,今回のように接近したとき限定となります。

月,惑星と観察してきたところで,星空全体にも目を向けておきましょう。
はじめの円形星図にもどりますが,12月の星空は冬本番間近にもかかわらず,西方面には夏の大三角,天頂付近には秋の四辺形が見えています。
☆『夏の大三角』・・・こと座の一等星ベガ,わし座の一等星アルタイル,はくちょう座の一等星デネブの3星がつくる大きな三角形。
☆『秋の四辺形』・・・ペガスス座の天馬の胴体の部分。
まだ夜が更けていない早い時間帯では,冬の星空はまだ東方です。

星座を形作る星々は,月明かりのために簡単には見つけられない可能性があります。W型のカシオペヤ座,東空に赤く輝くおうし座の一等星アルデバラン,ぎゃしゃざの一等星カペラ。そんな明るい一等星や特徴的な形の星座を目印にして,いろいろと探してみてください。
身体を南に向けて天頂(真上)を見上げたときの星空のイメージを下図に示しました。

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カペラはぎょしゃ座の一等星で,太陽の10倍ほどの大きめの恒星。アルデバランは,おうし座の一等星で大きさは太陽の40倍強。かなり大きな恒星です。色は暖色系。赤っぽい星は高齢です。地球からの距離は,それぞれ44光年,67光年と(宇宙レベルでは)どちらもご近所さんの星。基本的に明るい星は地球から近いところにある星です。

では,秋から冬に見える代表的な星雲星団に目を移してみましょう。
まだ夏の星座や天体も見えていますが,今回は秋・冬の月明かりの中でも何とか見えそうな天体を中心に紹介しておきます。

☆★球状星団
恒星が互いの重力の作用で球状に集まった天体。多くは銀河の周辺部に存在します。
ペガスス座球状星団(M15)
天馬ペガススの頭の先にある大きめの球状星団。高倍率で観察するとブツブツ感がはっきりしてきます。また,大きな望遠鏡ほど個々の星々に分解して見えてきます。どれも120億歳と高齢の星ばかりで,その数は数十万個!
※距離は33,000光年

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☆★散開星団
ほぼ同時期に誕生した星々が,比較的近い領域に集まってる天体
ペルセウス座二重星団(h&χ)
カシオペヤ座のW形のすぐ近くにある見事な散開星団。双眼鏡でもよく見える星団です。倍率は低めの方が隣接する2つの星団の全体像が見渡せることもあり,見た印象は良い感じがします。赤っぽい星があちこちに見られ,二重星団の良いアクセントになっています。
※距離は1,400光年

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☆★系外星雲
天の川銀河(銀河系)の外にある銀河(島宇宙)
M31(アンドロメダ座大星雲)
アンドロメダ座にある系外星雲。肉眼で見える最も遠い天体。倍率は低めの方が全体像がわかりやすい。渦巻きにはなかなか見えませんが,見かけの大きさは満月の約5倍ほどもある大きな星雲です。望遠鏡では渦巻きのうちの中心部がボンヤリと見えます。距離が230万光年ということなので,今から230万年前,人類の祖先が石器を振り回していた頃にアンドロメダ星雲を出発した光が,今ここに届いているわけです。
 天体望遠鏡を使っても,写真のようには見えませんが,ご自分の目でアンドロメダ星雲からの生の光を体感してください。ただ,当夜は月明かりがあるために,見え方はあまりよくないかもしれません。
※距離は230万光年

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☆★二重星
肉眼では1個の星にしか見えないものが,望遠鏡で観察すると接近した二つ(以上)の星として見える天体。実際に二つ以上の恒星がお互いに回り合っている天体を『連星』。ただ同じ方向に近寄って見えている見かけ二重に見えている天体を『見かけの二重星』といいます。

アルマク(アンドロメダ座の二重星)
アンドロメダ座には美しい二重星があります。アルマクという名の二重星で明るさは2等級。青色とオレンジ色の色の対比が美しい二重星です。肉眼ではわかりませんが,望遠鏡を使って少し倍率を上げて見てみると,2星が分離して色の具合もよくわかってきます。この二重星は実際に2つの恒星が公転し合ってる連星です。

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☆アルマク:これは写真ではなくてイメージです

すばる(M45,プレアデス星団)
おうし座にある散開星団。
最後に紹介するのは,観望会終盤,東空に見えてくるすばる。低倍率で見るとたいへん見応えがあります。息をのむほどの美しさを感じる人も多い天体です。すばるは秋ではなく冬の天体。早い時間帯にすばるが見えるようになると冬はもうすぐと感じます。

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<注>
星雲星団の名称の頭に付く『M』記号について
フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。Mは観測者メシエのMです。

☆★今回の観望会で見ておきたい天体リスト
 月齢10の月(月面),
 火星,木星,土星,
 ベガ,アルタイル,デネブ,夏の大三角,
 カシオペヤ座,ペガスス座,秋の四辺形,
 カペラ,アルデバラン,
 M31,二重星団(h&X),すばる,M15,
 アラマク 他

冷え込みがかなり気になる時期です。防寒に気を付けて,いろいろな天体の観望をじっくりとお楽しみください。

※HP中の星座図,太陽系図は,アストロアーツ社製StellaNavigator11で作成しています。
天体画像は,博物館会員が天体望遠鏡を使って撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときの見た感じに近いように若干の加工をしてあります。
円形星空図,説明図等はAdobe製Illustratorで作図しています。

 

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