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ポン・ブルックス彗星の観測好期です

[天文現象] スケジュール:2024/04/02
更新日:2024/04/01

ポン・ブルックス彗星とは
ポン・ブルックス彗星は1812年7月21日にジャン=ルイ・ポン(ポンス)が発見した彗星で、71年後の1883年にウィリアム・ロバート・ブルックスが再発見し、後年になってポンの彗星と同一であることが確認された公転周期約70年の彗星です。

2024年3月~4月はおよそ70年ぶりにポン・ブルックス彗星が太陽と地球に近づきます。

ポン・ブルックス彗星は3月中旬から4月初旬にかけてアンドロメダ座からうお座、おひつじ座へと移動していき、夕方から宵の早い時間帯に西北西の低空に5~6等級で見えています。肉眼で見ることは難しく、双眼鏡での観察が適しています。太陽に近づくにつれて、さらに明るくなると予想されていますが、高度が低くなってきますので、日没後から観測を始めましょう。地球の自転により日没後1時間ほどで地平線下になってきます。

chart_hrz_alt*図はアストロアーツ社ホームページから引用*
3月中旬から4月初旬にかけてだんだんと明るくなると予想されていますが、高度は下がってきます。日没後、まだ暗くなってしまう前から、双眼鏡を使って探すことをお勧めします。

42149_chart_eqt*図はアストロアーツ社ホームページから引用

星図

上図は3月16日(土)18時50分ころの香川県での見え方の予想図です。まず、この図には入っていませんが、上の方に「月」があります。月の次に明るく輝いているのが「木星」です。まずは木星を大まかな目印にして、西北西の斜め下方向に双眼鏡で探してみましょう。恒星とは異なる少しボケたようなものが彗星の核部分です。長い尾まではなかなか認識しにくいと思われます。
*最初に双眼鏡のピントをキチンと合わせていないと星と彗星の判別がつきません。月や木星でピントをキチンと合わせてから彗星を探してみて下さい*


天体望遠鏡博物館の会員・ボランティアからも観測報告が続々とされています。

まず、2024年2月13日に新潟県の渡辺真一氏がポン・ブルックス彗星の撮影に成功しました。

2024-02-13-1009_3-WN-L-Comet_ZWO ASI533MC Pro_lapl2_ap1

撮影日:2024年2月13日
撮影機材:天体望遠鏡-セレストロンC14XLT(口径356㎜焦点距離3910㎜口径比11)カメラ-ZWO ASI533MCPro 架台-スカイウォッチャーEQ8-Rh Pro 露出30秒
撮影者:渡辺真一氏 新潟市在住(天体望遠鏡博物館ボランティア・新潟天文研究会会員)
撮影者コメント:北風ビュンビュン・雲モクモクの合間に撮ったものでピントボケボケです。(焦点距離が長いので恒星像がフラフラ動き回ります)当面、日没後の西空低くを移動していくため、薄明と月明かりとの戦いになります。2月28日には再びバーストが報じられていますので、今後も楽しみな彗星です。日本海側は冬は冬眠の季節ですが、もう少ししたら、晴れ間も出てくるでしょう(今日は吹雪^^;)。春の良シーイングの元で最接近を迎えたいものです。

-この情報はお知らせ -ポン・ブルックス彗星と紫金山・アトラス彗星を撮影しました-にも掲載しています。https://www.telescope-museum.com/post-15017/


 

3月10日には香川県の堀川利裕氏が撮影しています。

20240310-P12com21-00P

撮影日:2024年3月10日19時17分~
撮影機材:天体望遠鏡-タカハシFSQ-85ED(レデューサー使用 焦点距離327㎜ 口径比3.8)カメラ-ZWO ASI2600MC Duo 露出1分×21枚
撮影者:堀川利裕氏 香川県高松市在住(天体望遠鏡博物館会員)
撮影者コメント:ポン・ブルックス彗星が夕方の西の空に見えています。今(3月10日現在)だと19時半くらいまで見えています。アンドロメダ大星雲のすぐ下側にありました。肉眼では厳しいですが、双眼鏡を使えば分かります。


 

3月13日、愛媛県西予市の兵頭健一氏が撮影を行いました。

兵頭氏撮影12P_20240313

撮影日時:2024年3月13日19:42〜19:46(JST)
撮影地 :愛媛県西予市宇和町
撮影機材:高橋製作所製 FC-100(専用レデューサ併用:合成焦点距離590mm)EM-200B/カメラ Nikon Z5(撮像エリア:DX)
露  出:15秒×12 ISO3200(ダーク、フラット無し)
処  理:ステライメージにてスタック(加算平均 σ1.3)トーンカーブ、周辺減光、色調補正
撮影者 :兵頭健一氏 愛媛県西予市在住(天体望遠鏡博物館ボランティア)
撮影者コメント:この日は低空まで透明度は良好でしたが、あいにくの薄雲越しでした・・・。


 

3月14日、鹿児島県の市來平和氏が撮影を行いました。

市來氏撮影ポン・ブルックス彗星

撮影日:2024年3月14日20時6分
撮影機材:望遠鏡カプリ80EDAZgti赤道儀化 カメラkiss5天体改造 露出15sec10枚コンポジット
撮影者:市來平和氏 鹿児島県霧島市在住(天体望遠鏡博物館ボランティア)
撮影者コメント:高度低く撮影は出来ましたが双眼鏡での確認は出来ませんでした


 

3月15日には後藤干城氏が撮影

後藤氏撮影ポン・ブルックス彗星

撮影日:2024年3月15日19:20~ (画面の0h51m42.50sは世界標準時)
撮影機材:天体望遠鏡-UNISTELLAR eVscope 露出8分
撮影者:後藤干城氏 香川県小豆島で撮影(天体望遠鏡博物館会員)
撮影者コメント:eVscopeでお手軽撮影したものです。eVscopeからの撮って出しで、追加の画像処理は加えずです。

同じく3月15日に野島廣氏も撮影。

野島氏撮影ポンブルックス彗星eVscope220240315

撮影日:2024年3月15日19:30頃
撮影場所: 徳島県鳴門市うずしおふれあい公園
撮影機材:天体望遠鏡-UNISTELLAR eVscope2 露出7分
撮影者:野島廣氏(天体望遠鏡博物館ボランティア)
撮影者コメント:肉眼、双眼鏡では見つけられませんでしたが、eVscope2はすぐに見つけてくれました。


3月16日、新潟県の渡辺真一氏による撮影

p12山本様1

撮影日:2024年3月16日18時48分
撮影機材:天体望遠鏡-セレストロンC14XLT(口径356㎜焦点距離3910㎜口径比11)カメラ-ZWO ASI533MCPro 架台-スカイウォッチャーEQ8-Rh Pro 露出5秒
撮影者:渡辺真一氏 新潟市在住(天体望遠鏡博物館ボランティア・新潟天文研究会会員)
撮影者コメント:新潟は2月の後半からお天気悪くて、12Pなかなか観測できなかったのですが、ようやく16日の夕方、低空でキャッチできました。透明度が悪くて相当炙っているので極めてノイジーですが、強調すると左上に向かって広がる無数の流線と、自転する核から左巻きに伸びる螺旋状の構造が浮かび上がってきます。

p12山本様2

撮影日:2024年3月16日18時48分
撮影機材:天体望遠鏡-セレストロンC14XLT(口径356㎜焦点距離3910㎜口径比11) 架台-スカイウォッチャーEQ8-Rh Pro カメラ-Apple iPhone11 露出1秒 ISO 8000
撮影者:渡辺真一氏 新潟市在住(天体望遠鏡博物館ボランティア・新潟天文研究会会員)
撮影者コメント:セレストロンC14XLTに14mmアイピースをつけてのiPhoneコリメート(手持ち)です(2枚目は右上が北)。


 

3月27日に野島廣氏からの追加撮影。

eVscope2-20240327-101738

撮影日:2024年3月27日19:17頃
撮影場所: 徳島県徳島県板野郡松茂町(自宅前駐車場)
撮影機材:天体望遠鏡-UNISTELLAR eVscope2 露出7分
撮影者:野島廣氏(天体望遠鏡博物館ボランティア)
撮影者コメント:尾が大きくなっていました。


4月1日 徳島県の福川氏による肉眼観測+スケッチでの報告です。

12Pスケッチ

観測日:2024年4月1日19:38頃
観測場所: 徳島県 吉野川中流域
使用機材:興和株式会社 Kowa 口径42㎜ 8倍双眼鏡
観測者:福川慶三氏(天体望遠鏡博物館会員)
観測者コメント:12P(ポン・ブルックス彗星)の観望のために,徳島市内から半時間ほどの吉野川中流域まで弾丸ドライブをしてきました。準備物は,双眼鏡とスケッチ道具一式のみ。

写真撮影はセンサーが光を電気信号に変換し蓄積することができますので、露出時間をかけることにより、肉眼で見たときよりも明るく撮影できます。スケッチは光を蓄積できない人間の目で見たままのイメージになります。このスケッチにより、双眼鏡で見たときのポン・ブルックス彗星の見え方がわかります。

今回の福川さんのスケッチ方法は次のとおりです。
基本は,
①観測地で双眼鏡で見えている視野内の天体を手描き(天体も周囲の恒星も)
まずは,見えたままの恒星を手描きします。ですから,恒星位置は正確性に欠く場合もあります。その補完のために,後で StellaNavigator (天体観測シミュレーションソフト)にて光度や位置の確認をします。目的の天体(彗星)は, 2 ~ 3B の鉛筆で見えているままを意識しながら手描き。
②自宅にも戻ってから元画の手描きスケッチをIllustratorを使ってデジタル描画します。
恒星は明瞭な点ではなく,気流や透明度によって輪郭が若干ボケています。その表現にIllustrator の機能が便利だったりします。明るさや色合の微妙な違いも描くことができます。
※観測日時や機材等も付記します
③IllustratorのDATAをjpgに変換。
今回の 12P スケッチは,手描き以降は全て Illustrator で描いています

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