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【開催済】4月13日夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2024/04/13
更新日:2024/04/13

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【日時】
2024年4月13日(土)
18時30分:開場・受付開始
19時00分:オリエンテーション
19時10分:観望会開始
20時30分ころ:終了予定

*19時までに受付できるようにご来館下さい*

【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います

【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度

【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料

【募集組数】20組(70名程度)

【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明

【雨天・曇天時】
雨天・曇天時は別プログラムにて開催致します。

別プログラムの例
直径7メートルの大型エアドームによるプラネタリウム

プラネエアードーム7m

4月13日の星空案内

☆★今回の天体観望会でのオススメ天体リスト
月:月齢4.7
星座:ふたご座,かに座,しし座,おとめ座,
一等星:ベテルギウス,プロキオン,シリウス,ポルックス,レグルス,スピカ,
星の並び:冬の大三角,北斗七星,春の大曲線,
星雲:しし座の系外星雲(M65,M66,NGC3628),おおぐま座の系外星雲(M51,M81,M82),
星団:かに座の散開星団プレセペ(M44),
二重星:ミザール,カストル 他

本年第2回目の天体観望会において,ぜひ観察していただきたいオススメの天体を天体を紹介していきます。

 当夜は,午後7時からオリエンテーションが行われる予定です。観望会の概要を聞きながら空を見上げると,西空にバナナ型の月が明るく輝いているのが目に付くと思います。博物館前の駐車場には,数多くの天体望遠鏡が並べられていると思いますが,その多くが最初に向けられるのは,この月だろうと考えます。
 やっぱり一番目立っている天体から観察してみたいですよね。

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なので,まずは月から。
 この夜,見えている月の月齢は4.7。
 月には月齢(げつれい)という数値があって,その数値から月の膨らみ具合がわかります。
 月齢とは,月の満ち欠けの状態を示す数字で,新月から何日経過しているかを表します。新月を0として,新月からの経過日数を数字で表します。大まかには月齢が7前後であれば半月(上弦の月)頃,15前後であれば満月頃,22前後であれば下弦の月の頃というように,月齢で月のだいたいの大きさを知ることができるわけです。

 ここで,今夜の月はどんな形の月なのか,調べることができる便利な方法を紹介しましょう。
 月齢でだいたいの月の形や膨らみ具合がわかるとお話しました。ということは,その日の月齢がわかれば,月の形や膨らみ具合がわかるということになります。
 さて,どうやってそれを調べるか。『はい,ネットで調べたらわかる!』,そうですね,確かにそうかもしれません。
 でも,もっと早くスマホもPCも必要としない方法があるんです。
 ちょっとした暗算が必要なんですが,
 調べたい日の,月と日を足して,その数に17を足します。もしその足し算の答えが30を超えていたら,30を引きます。
 4月13日,この天体観望会の日を例にして計算してみましょう。
 4(月)+13(日)+17=34
 ※30を超えているので30を引きます。
 34-30=4
 この4という数が,その日の月齢(近い数値)になります。観望会当夜の月齢は4.7で,だいたい合ってるでしょ。
 ちなみに,この計算式は正確な月齢の値を導き出すものではなく,大まかな月齢計算となるところが注意点です。それでも,この式は2024年の今年いっぱい使えます。17という数がポイントです。

 さて,月にはたくさんのクレーターがあります。
 クレーターは,昔からどうやってできたのか,議論の的になってきました。隕石が衝突してできたとか,火山の噴火でできたとか,いろいろな説が出されました。しかし,アポロ探査機が持ち帰った月の石を調べたところ,顕微鏡でなければ見えないような非常に小さな凸凹や穴が,たくさん残されていることがわかりました。これらは火山の噴火や爆発でできることは考えられません。
 そんな考察から,現在では,クレーターは隕石や小天体が月面に衝突してできたと考えられています。
 三日月から半月に近い月は,欠け際のクレーターをコントラスト高く見ることができます。
 下に,今夜の月面観察ポイントをいくつか抜き出してみました。

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 画像の真ん中から右にかけて,黒くツルツルしていて,平坦で凸凹感のない部分(『海』といいますが,海水があるわけではありません。)が見えてます。
 そして,クレーターの多い部分は,『山』(こちらは文字通り山岳地帯です)というわけです。
低倍率で月の全体像を見たら,次は倍率を上げてクレーターの細部を観察してみてください。クレーターの中にさらに小さなクレーターが多数見えてきたり,ひび割れたような複雑な地形が見えきたりします。

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 それでは,月のことを少し紹介しておきましょう。
 月の大きさは,直径約3,500km。地球のおよそ1/4。
 月までの距離は約38万km。運動会で良く見られる大玉を地球とすると,バスケットボールほどの月が30m離れたところを回っている感じです。
 月の1日は(地球での)1ヶ月ほど。すなわち,15日ほどの昼と15日ほどの夜が交互にやってきます。月にはほとんど大気がなく,15日間,太陽に照らされたり,夜は15日間,冷やされたりと,昼夜で温度差が非常に大きくなります。昼は100℃を超え,夜になると-170℃ほどまで下がるといわれています。月面はかなり過酷な世界のようです。

 月や月面を観望したところで,次は星空全体に目を向けて,どんな星座が見えているか確認しておきましょう。

 まず,身体を南方向に向けて,上空を見上げてみましょう。
 すると下図のような星空が見えるかと思います。

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 この円形の星図は,観望会当夜午後8時頃の星空を表しています。方位を記入してありますが,その方位を下にすると星座早見盤のように扱うことができます。
 (注)一等星を紫色の文字で表示していますが,北極星,ふたご座のカストルは一等星ではありません。

 空全体を見渡してみると,西側半分の空には一等星がたくさん。これらは冬の星座の一等星たちです。一方東側半分には,しし座の一等星レグルス,おとめ座の一等星スピカ,うしかい座の一等星アークトゥルスが見えています。このしし座,おとめ座,うしかい座等は春の星座たち。ちょうど,『冬の星座から春の星座への切り替わり中』といえる星空ですね。当観望会中,時間が経過するにつれて,春の星座たちは高度を上げて主役の位置にやってきます。
 冬の天体もまだ見ることができるし,春の天体もしっかりと観察できる,そんな観望会になりそうです。

 星空全体をもう少し詳しく見ていきましょう。
 西空に見えるオリオン座のベテルギウス,おおいぬ座のシリウス,こいぬ座のプロキオンの3星を結んでできる冬の大三角が,ギリで南西の空に見えています。また,天頂近くにはふたご座のカストルとポルックスも簡単に見つけることができます。ふたご座は冬の星座です。
 一方,北の空に目をやると,春の星並びとして有名な北斗七星 が見えています。
 北斗七星の柄の部分をひしゃくの部分とは反対方向に伸ばした先に,さきほど紹介した,うしかい座のアークトゥルスがあります。アークトゥルスをさらに南へ伸ばすとおとめ座のスピカがあります。この北斗七星の柄の部分から,アークトゥルス,スピカと結ぶけっこう長い曲線が春の大曲線。冬と春の特徴的な星の並びの両方が見えているわけです。
 こういった星々を結んでできる形や星座の観察には,天体望遠鏡は必要ありません。望遠鏡の順番を待つ間,星々が作り出す様々な形を見つけて楽しんでみてください。

 それは,いくつかの春の星座から,今回はかに座を紹介しましょう。
 かに座には一等星がありません。2等星もありません。3等星もなく,4等星と5等星で形づくられる星座。そんなわけで,目立たない,全体の形を肉眼で追うことが難しい星座です。そもそもが蟹の形には全く見えないということもあります。
 場所は,ふたご座としし座の間。こいぬ座の一等星プロキオンと,しし座の一等星レグルスの真ん中へんのチョイ上(北)。視力に自信がある人は,難度は高いかもですが,かに座探索にチャレンジしてみてください。

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 かに座にまつわる神話も紹介しておきましょう。
 かに座のモデルとなったのは,ギリシャ神話の一つ,『ヘルクレスと怪物ヒドラの戦い』に登場する化けガニ。
 ヘルクレスは,自分の犯した罪をつぐなうために12の試練に立ち向かうことになります。その12の試練のうちの一つが,怪物ヒドラ退治だったのです。ヒドラは9つの不死身の首を持ち,口から火を吐くという怪物です。
 実は,この怪物ヒドラと化けガニは親友同士。困ったときは助けに来るからねと常々話し合っていた仲良しコンビだったのです。そんなわけで,ヘルクレスが優位に立っていたこの戦いに,化けガニは友情参戦。共に戦うことになります。
 ヒドラは,ヘルクレスから火の付いたたいまつを首に押しつけられて焼かれ,次々と首を失ってしまいます。焼かれた上に剣で切られてしまっては,不死身の首も再生できません。ヒドラ大ピンチです。
 そこに親友を助けようと,ヘルクレスの足下に,大きなハサミを開いて忍び寄る化けガニ。ところが,ヘルクレスは『何だこいつは?邪魔なカニだな。』と簡単に足で踏み潰してしまいました。
 化けガニは,親友を助けることができないまま絶命。あっけない最期を無念に思った大神ゼウスの奥さんであるヘラが星座に上げたのが,このかに座だとされています。

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 かに座の真ん中に散開星団(数十ないし数百の恒星が,比較的近い距離の空間に不規則に集まっている天体)プレセペ(M44)があります。場所は,ふたご座の一等星ポルックスと,しし座の一等星レグルスのほぼ中間のあたりですが,空の暗いところでは肉眼でもボヤーッと見ることができます。
 プレセペとは飼い葉桶(かいばおけ)という意味のラテン語。飼い葉桶とは家畜のエサ入れのこと。どう見てもエサ入れには見えないのですが,肉眼で見たときのボンヤリとしたイメージが,そう感じさせるのかもしれません。

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 一般的に散開星団は,拡がりのある大きな天体であることが多いので,低倍率(広い視野で見える)で観察するのがオススメです。小型の天体望遠鏡は,その低倍率が得やすいという特徴があります。

 かに座に目を向けたら,続いて春の星座の代表格であるしし座の方へ視点を移しましょう。

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 しし座には,一等星レグルスがあり,このレグルスを目印にすれば,ししの形を追うことは,比較的容易だといわれています。上の星座線からも,何となく(右を向いた)ライオンっぽい感じを見つけることができそうでしょ?
 レグルスとは『小さな王』の意味があり,ライオンの胸のあたりに位置します。また,しし座で2番目に明るい2等星のデネボラという恒星も見つかります。デネボラとは『ライオンの尻尾』という意味で,そのまんま,ししの尻尾にあたる恒星です。
 しし座の後ろ足のところには,たいへん遠くにある系外星雲(銀河系の外側にある銀河)があります。M65,M66,NGC3628の3つの銀河です。距離は約3500万光年。私たちの銀河系(天の川銀河)の直径がおよそ10万光年程度といわれていますから,銀河系の大きさの350倍ほどの遠さにある天体であるわけです。そんなに遠くにある天体ですから,暗くてボンヤリとしか見えません。目をこらしてじっくりと望遠鏡をのぞき込んでみてください。系外星雲については,たくさん星の光を集めることができるスライディングルーフ内の大型望遠鏡で観察することをオススメします。

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 そして,春の星空に見られる星の並びとして,最も有名で目に付くのはやっぱり北斗七星でしょうか。
 勘違いしている方もいる人も多いかもしれませんが,北斗七星は星座ではありません。北斗七星はおおぐま座の一部で,大熊の背中から尻尾の辺りになります。北極星を見つけるときに活用されることでも有名ですね。
 北斗の『斗』は,中国では枡を意味します。名前の通り,北に見えるひしゃくの形をした7つの星というわけです。この7つの恒星は,2等星が6個と3等星が1個。まずまずの明るさと,特徴的な星の並びが,簡単に見つけやすくなっている要因といえるでしょう。

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北斗七星の柄の先から2番目の星はミザールという星です。肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星。上の写真でも2つの星がくっついているのがわかりますが,明るい方がミザール,暗い方の星はアルコルといいます。
 アラビア地方では,その昔,兵隊の視力検査に利用されていたそうです。視力に自信がある方は,肉眼でこのミザールが2つの星に分かれて見えるか挑戦してみてください。
 
 春の星空は,遠くの宇宙(系外星雲)を観察しやすくなっています。私たちの銀河系(天の川銀河)内部の星々に邪魔されない領域が見やすく拡がっているというのがその理由です。北斗七星付近には,この系外星雲がいくつか存在しています。その一つであるM51を紹介しましょう。
 M51は,大小2つの銀河がくっついているため,子持ち銀河とも呼ばれたりもします。下の写真では,M51の渦巻きの1本の腕の先に,小型の銀河(NGC5195)が並んでいる様子がわかると思います。
 写真の右に,小型の望遠鏡で観察したときのM51のスケッチを並べてみました。写真と望遠鏡で見た像とでは全然違いますね。小さな望遠鏡では,大小の星雲を結ぶ腕までは見えません。それでも,目を凝らせて観察していると,大小2つの淡い雲という感じにわかるようになってきます。それは,遙か2100万光年先の深宇宙からの生の光。写真ではない本物の宇宙からの光です。遙かに遠い距離にある天体なので,見え方は残念でも,それなりの存在感を感じさせてくれるはずです。
 できればM51も,しし座の系外星雲と同様,大口径の望遠鏡で観察するのがオススメです。

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系外星雲を観察しやすい春,しし座の3つの系外星雲,それから,おおぐま座のM51を紹介しましたが,せっかくたくさんの系外星雲が見えているので,もう一つ(二つ),M81とM82を紹介しておきましょう。
 M81とM82は,北斗七星のひしゃくの先に位置します。距離は1200万光年。
 M81の方は渦巻き型をしていますが,M82の方は不規則な形が特徴です。望遠鏡で観察すると,どちらもボンヤリとした雲か煙状。M81の方は楕円っぽく,M82の方は細長く観察できます。数千年前に,この二つの銀河は接近して,M82はM81の大きな重力で変形してしまったと考えられています。
 こちらの銀河も,遠くて暗い天体です。大型望遠鏡で観察するのがいいですね。

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 ここまで,いくつか見所となる天体を紹介しましたが,冬から春の星空には他にも数多くの『見ておもしろい天体』がたくさんあります。冬の天体もまだ見えています。ここに記しているもの以外の天体についても,博物館の担当者が望遠鏡を使って導入,そして紹介をしてくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのか質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体について知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
 夜間,4月といっても山の中は冷え込みが厳しくなることがあります。防寒を十分にして,いろいろな天体の観望をじっくりとお楽しみください。

※HP中の星座図,太陽系図は,アストロアーツ社製StellaNavigator12で作成しています。
 天体画像は,博物館会員が天体望遠鏡を使って撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように若干の加工をしてあります。
 円形星空図,説明図等はAdobe製Illustratorで作図しています。

<注>
 天体(星雲星団)の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体は,個々にM番号が振られて一覧化され,観測に活用されています。『M』は観測者メシエのM。『NGC』記号は,新たにまとめられたカタログに記載されている星雲・星団および銀河の個別番号です。

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