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【開催済】6月15日夜間天体観望会

[イベント] スケジュール:2024/06/15
更新日:2024/06/14

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【日時】
2024年6月15日(土)
19時00分:開場・受付開始
19時30分:オリエンテーション
19時40分:観望会開始
21時ころ:終了予定

*できるだけ19時20分までに受付できるようにご来館下さい*

【内容】
オリエンテーション後、天候に合わせて天体観望を行います

【予定機材】
大型望遠鏡数台、小型・中型望遠鏡10台程度

【参加費】
大人500円
大学高校生400円
中学小学生300円
就学前児童無料、障がい者手帳お持ちの方無料

【募集組数】20組(70名程度)

【オリエンテーションの内容】
・今夜の星空のシュミレーション
・本日の天体望遠鏡の味わい方
・天体望遠鏡の見方・使い方説明
・夜間天体観望会での事故防止注意事項説明

【雨天・曇天時】
雨天・曇天時は別プログラムにて開催致します。

別プログラムの例
・直径7メートルの大型エアドームによるプラネタリウム
・館内ナイトツアー
・夜だからできる光学実験

プラネエアードーム7m

参加申し込み方法

2024年6月15日夜間天体観望会のネット予約受付は終了致しました。(6月15日02時28分)

6月15日の星空案内

☆★今回の天体観望会での観察オススメ天体リスト
 月:月齢9の月(クレーター,谷,海)
 星座:しし座,うしかい座,おとめ座,ヘルクレス座,おおぐま座
 一等星:レグルス,アークトゥルス,スピカ
 星の並び:北斗七星,春の大曲線
 星雲:おおぐま座の系外星雲M51
 星団:ヘルクレス座の球状星団(M13)
 二重星:ミザール,プルケリマ, 他

 6月15日開催予定の天体観望会において,観察しておきたいオススメの天体を紹介していきます。

 夏至が6月21日と目前に迫っている当夜,日没は19時17分とかなり遅く,観望会が始まってもしばらくは,まだ空に明るさが残っていると思います。
 この太陽が沈んでも,空が明るさを保っている状況を薄明(はくめい)と呼びます。
 薄明には,市民薄明(常用薄明),航海薄明,天文薄明の3つの区分があります。市民薄明は,(目安として)灯りを使わずに屋外で活動ができる明るさとされていて,日没後約30分間程度。太陽が地(水)平線下6度までをいいます。このときは,惑星や一等星が見えている感じです。次の航海薄明は,(夕方の場合)太陽高度が地(水)平線下およそ6~12度の間にある時間帯を指します。空と水平線の境目が認識できる時間帯で,暗い星も見え始め,航海のために利用可能になる時間帯となっています。そして天文薄明は,空と地(水)平線との境界がわからなくなる時間帯。(夕方の場合)日没後1時間30分程度とされています。太陽高度は地平線下およそ12~18度。
 この天文薄明が終わって,やっと暗い夜がやってくると言えるわけです。当観望会の天文薄明の終了時刻を調べてみたら21時頃,もう観望会の終了時刻ですね。今回は,夏至に近く,夜空に明るさが残る中での観望会ということになります。
 そんな,『空が暮れていく』様子も味わいながらの観望会といえそうです。
 この夜は,その残る空の明るさに加えて,半月過ぎの月も輝いています。この夜のように月が空全体を明るく照らしているときは,暗い天体は見えにくい状態にあるといえます。すなわち,今回の天体観望会の主たる観望対象は,前回の観望会では曇天で見えなかったということになるかと考えます。

 この夜の月齢は9。
 ※月齢とは,月の満ち欠けの状態を示す数字で,新月から何日経過しているかを表します。新月を0として,新月からの経過日数を数字で表します。大まかには月齢が7前後であれば半月(上弦の月)頃,15前後であれば満月頃,22前後であれば下弦の月の頃というように,月齢で月のだいたいの大きさを知ることができます。
 月齢7前後が半月なので,月齢9の月というのは,半月から2日分ほどふくらみが進んだ月ということになります。

 月は大きく明るいので,天体望遠鏡を簡単に向けることができる天体です。博物館駐車場に並べられた天体望遠鏡の多くは,早々に月に向けられていることでしょう。

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 さて,月の物理的な紹介は前回に記しましたので,今回は別の視点から月の特質に迫ってみしょう。
 今,プロ野球のペナントレースが熱くなっていますが,月で野球をやってみるとどんな感じになるか,そんな観点から月を捉えてみたいと思います。
 月の重力は地球の6分の1。単純に考えると地球上と比べて6倍のジャンプ力が得られるはずです。
 空気はほとんどないので,宇宙服を着て,酸素ボンベを背負った状態でのプレーになります。
 まずはピッチャーから。
 空気の抵抗がないため,かなりの剛速球になります。また,空気がないということで,ボールに回転を加えてもボールは変化しません。全て直球勝負です。
 でも,宇宙服に重たい酸素ボンベを背負っていたら,さぞかし投げにくいでしょうか。
 続いて,バッターです。
 重力が6分の1なので,バットはとても軽く感じられ,軽々と振ることができるはずです。そして見事ボールを捉えてホームラン性の当たりになった場合は,単純にこれも地球上での野球の6倍以上は飛んでしまうでしょう。場外を大きく超えるスーパー大ホームランです。
 速すぎる直球。飛びすぎる打球。そんな感じでは野球にならないので,球場を広く大きくするしかないのかもしれません。
 それでは,改めて各サイズを6倍にした広いグランドを造ってプレーボール。
 ピッチャーとキャッチャーの間は110m(18.4m×6)。ホームベースから外野フェンスまでは720m(120m×6)。ホームから1塁までは164m(27.4m×6)。
 ピッチャーとしては,いくら剛速球を投げることができるといっても,大遠投になります。ヒットを打って1塁まで走るにしても164mを全力疾走。どちらも,宇宙服に酸素ボンベを身につけたまま。しかもピョンピョンとはねながら。
 かっこ良くないし,体力持ちませんね。
 観客もしかり,全員宇宙服に酸素ボンベ着用。空気がないということは声援の声も届きません。大歓声も全く聞こえない,静寂のままに試合は続きます。
 いかがですか?月での野球を紹介しましたが,そんな月世界を想像しながら,望遠鏡で月面を眺めてみると,ひと味もふた味も違った観察になるかもしれませんよ。

 さて,今,NHKの大河ドラマ『光る君へ』が放送されています。主人公紫式部は,源氏物語の作者として有名です。ドラマでは,平安貴族の世界を舞台に,様々なストーリーが展開されています。
 その,紫式部が詠んだ歌に,『めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半(よは)の月かな』というのがあります。現代語訳としては,『久しぶりに顔を合わせたはずの古い友だちと,あなただと確かめる間もなく,雲間にさっと隠れてしまう夜中の月のように,あわただしく行ってしまった。(もっとゆっくりしていけばよかったのに・・)』という歌です。
 また,紫式部は琵琶湖に映る月を見ながら,源氏物語の構想を練ったとも言われています。紫式部も,月を歌に活用したり,作品作りの手がかりにしたりしながら月を眺めていたのでしょう。
 今宵は,あわてることなく,ゆったりとした気分で,月面探訪を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 今宵は月面探索。
 それでは,実際の月の観察ポイントを紹介しておきましょう。

 まず,望遠鏡で月を観察したときに一番に気がつくのが,黒っぽい模様。昔の人たちは,月にも地球と同じように海があると考えていました。そして,この黒い地域を『海』と呼びました。海は,そのほとんどが地下から噴き出した溶岩(玄武岩)でできて,この玄武岩が黒っぽく見せているのです。
 それぞれの海には名前がついています。この観望会の夜,見えている海は下の6つ。

 『豊かの海』 は,直径700kmのやや不規則な形をした海。ウサギの片方の耳にあたります。
 『神酒の海』は,直径約300kmのほぼ円形をした海。ウサギのもう一方の耳にあたります。
『危難の海(危機の海)』は,直径約600kmの円形の海。切り立った山脈に囲まれて,内部は冷えた溶岩で覆われています。
 『静かの海』は,直径約900km。ウサギの顔(頭)の部分にあたります。人類が初めて月面に立つことができたアポロ11号の着陸地点があります。
 『晴れの海』は,直径約700km。何となく五角形っぽく見えます。
 『雨の海』は,径約1100km。『嵐の大洋』に次いで月面2番目に広い海。

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 一方,海とは反対に,クレーターが多い地域を陸(高地)といい,高さが2000~4000m級の外輪山的な構造を持っています。
 そのうちの観察しやすいクレーターと特徴的な地形をいくつかをご紹介しましょう。

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 プラトークレーター は,月面の北部に位置します。直径は約100km。プラトーの底は平坦で暗く,内部に直径2km程度の小さなクレーターが4個ほど確認できます。この小クレーターは気流が安定したときに性能の良い望遠鏡でないとなかなか見ることができません。そのために望遠鏡の分解能テストに利用されることもあります。
 スライディングルーフにある大型望遠鏡に高倍率をかけて,はたして何個の小クレーターを見ることができるか,挑戦してみるのもおもしろいのではと思います。
 ティコクレーター の直径は,約85km。太陽光が当たると光条と呼ばれる明るい放射状の筋が,このクレーターを中心に幾本か伸びているのがわかります。中央にある山の高さは1600mほど。周囲の山の高さは4800mと富士山を越えています。
 クラビウスクレーター は,月の表側では最大級のクレーター。直径は約225km。輪郭が不明瞭なため,かなり古いクレーターであると判断されています。
 アペニン山脈 は,長さが600kmにも及ぶ長大な山脈で,高さ5,000m級の山々が続きます。
 アルプス谷 は,プラトークレーターのすぐ近くにあって,周囲の山々を切り裂くように伸びる長さ約180kmの幅広い谷です。

 月面を観察する場合,倍率を思いっきり上げてみるのもオススメです。高倍率で見る月面は,すごい迫力で,クレーターの内部構造や,谷のようなひび割れた様子などが観察できます。

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 もう一息,倍率を上げてみましょう。 
すると,こんな感じ。

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天体望遠鏡の『倍率』に注目!
 天体観望会で望遠鏡を覗いていただいていると,『この望遠鏡は何倍なんですか?』と尋ねられることがあります。基本的に天体望遠鏡は倍率を変えることができるので,そのときどきによって倍率は違っています。
 ちなみに,天体望遠鏡の倍率=天体望遠鏡の対物レンズ(鏡)の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離 となります。
 例えば,焦点距離が1000mmの望遠鏡に,焦点距離が10mmの接眼レンズを取り付けると,
 1000mm÷10mm=100 で,この場合の倍率は100倍ということになります。
 対物レンズの焦点距離は変えることができませんから,使用する接眼鏡を交換することによって倍率を変えていきます。この式から,短い焦点距離の接眼鏡に換えることによって,倍率を高くすることができると読み取れるでしょう。
 ただ,いくら倍率を変えることができるといっても無制限に高倍率にすることはできません。標準的な数値として,対物レンズの直径(口径)をmmで表した数値を2倍した倍率が有効的な最高倍率だとされています。すなわち,口径の大きな望遠鏡ほど高い倍率を得ることができるということです。
 望遠鏡を覗きながら,『この望遠鏡の今の倍率は何倍?』と,ぜひ尋ねてみてください。

 それでは,月の観察を堪能したところで,星空全体に目を向けてみましょう。

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 この円形の星図は,観望会当夜午後8時頃の星空を表しています。方位を記入してありますが,その方位を下にすると星座早見盤のように扱うことができます。
(注)一等星を紫色の文字で表示していますが,北極星,ふたご座のカストルは一等星ではありません。

 はじめにもご紹介したとおり,大きな月が明々と照らしているので,暗い星々は見えにくい状況にあるかと思います。そんなときは一等星を目印にしてみましょう。
 春の星空には一等星が3つあります。おわかりになるでしょうか?
 しし座のレグルスおとめ座のスピカ,そして,うしかい座のアークトゥルスの3つ。これらの明るい一等星をまず見つけておいて,それから周囲の暗い星を探していくと,月明かりに負けることなく,星座の形も見つけやすくなるのではと考えます。
 また,北の空に目を向けると,北極星を探すのに利用されることで有名な北斗七星が見えています。この北斗七星の柄の部分をひしゃくの部分とは反対方向に伸ばすと,うしかい座のアークトゥルスがあります。そのアークトゥルスをさらに南へ伸ばすとおとめ座のスピカがあります。この北斗七星の柄の部分から,アークトゥルス,スピカと結んでできる曲線が春の大曲線です。
 こういった星々を結んでできる形や星座の観察には,天体望遠鏡は必要ありません。望遠鏡の近くで列を作って待つ間,いろいろな星の並びや形を見つけて楽しんでみてください。

 過去の観望会案内では,いくつかの星座にまつわる神話も紹介してきました。今年は,ふたご座,かに座,おおぐま座と続けてきていますが,今回は明るい月から少し離れたところにあるヘルクレス座とその神話をお話ししましょう。

 ヘラクレスは,大神ゼウスと人間アルクメネーとの間に生まれました。
 そのため,ゼウスの奥さんであるヘラからの恨みを受けてしまいます。
 ヘラは,寝ている赤ん坊のヘラクレスのそばに毒ヘビを放ちます。ところが,ヘラクレスは,そのヘビをおもちゃのようにいとも簡単に握りつぶしてしまいます。
 そんなヘラクレスも,医学や武術を学びながら,立派な青年に成長。ところが,ヘラの恨みは消えることはありません。ヘラクレスは,またもヘラの呪いを受けて,狂気のままに自分の家族を炎の中に投げ込んでしまうのです。
 正気に戻ったヘラクレスは嘆き悲しみ,大きな後悔を背負います。そして,王エウリュステスのもとを訪れ,どうすれば罪を消すことができるか尋ねます。
 このとき,ヘラクレスは,自分の罪を消すための12の苦行を言い渡されるのです。
 その12の苦行とは
 (1)レルネア谷のヒドラ退治
 (2)ネメアの森のお化けライオン退治
 (3)ケリュネイアの鹿の生け捕り
 (4)エリュマントスのイノシシの生け捕り
 (5)アウゲイアス王の馬屋掃除
 (6)ステュムパリデスの怪鳥退治
 (7)ポセイドンの牛の生け捕り
 (8)トラキア王・ディオメデスの馬の生け捕り
 (9)アマゾンの女王の腰帯の強奪
 (10)ケーリュオネスの赤牛の生け捕り
 (11)ヘスペリデスの森の黄金のリンゴ採取
 (12)冥界の番犬・ケルベロスの生け捕り
 
 それぞれの苦行・難行が冒険物語になっていて,神話好きな人にはオススメかもしれません。
※ギリシャ神話に登場するこの英雄の名は『ヘラクレス』ですが,星座名はラテン読みをされていて『ヘルクレス座』となっています。(1)のヒドラはうみへび座のモデルに,(2)のお化けライオンはしし座のモデルになっています。

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 上の絵図からわかるように,(南向きに見ると)ヘルクレス座は逆さまです。Hの文字の真ん中でへこんだような形?,崩れた下向きの矢印?のような7角形型。このように逆さの胴体の部分は特徴的な形なので,何とか見つけ出すことができるでしょうか。ただ,4等星より暗い星で構成される両手両足の部分は,肉眼ではわかりにくいものです。月明かりがあるときはなおさらかもしれません。近くの一等星ベガやアークトゥルスを目印に探してみてください。ベガとアークトゥルスの中間より,少しベガ寄りにヘルクレス座はあります。
 ヘルクレス座は全天で5番目の大きさ(広さ)をもつ星座。暗い星が多いけど迫力の大きさです。
 この星座には,北天一美しい球状星団(多くの恒星がお互いの重力で球形に集まった天体)といわれるM13があります。位置はヘラクレスの腰のあたり。大きめの望遠鏡に高倍率をかけて覗くと,星々がブツブツした感じに分離して見えて,星が密集してるイメージが伝わってきます。密集した恒星の数は50万個以上といわれています。距離は25,000光年
 球状星団は,大きな望遠鏡で観察することをオススメします。ものすごい数の恒星がツブツブ状に見えてきて,それはそれは見事なものです。

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 春の星空の特長の一つとして,見応えのある二重星が多いということが挙げられます。
 二重星というのは,2つ以上の恒星が接近して見える星をいいます。肉眼ではひとつの星にしか見えない星であっても,天体望遠鏡を使って観察すると2つの星に分かれて見えたりします。二重星のうち,実際にお互いの星が引力で引き合って周り合っている二重星を『連星(れんせい)』,単に同じ方向に接近して見えているものを『(見かけの)重星』と区別して記されます。
 二重星によっては,色の組み合わせがとても美しいものがあり,”単に2つの接近した星”ということ以上の楽しみ方があります。
 その二重星の中で,春を代表するものとして一番にオススメなのが,うしかい座のプルケリマ 。正式にはイザールという名の星ですが,ラテン語で『最も美しいもの』という意味のプルケリマという名前も付けられています。実際に全天一の美しい二重星だと言う人も多いようです。
 黄色っぽい主星に青みがかった伴星(二重星の暗い方の星)の組み合わせは,本当に美しく感じます。

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 その他にも,しし座のアルギエバも味のある美しい二重星です。
 二重星の,それぞれの色の違いや組み合わせの妙をぜひ味わってみてください。これらの二重星は,かなり接近しているため,大きな望遠鏡で高倍率を使って観察するのがオススメです。
 それからもう一つ,北斗七星の柄の方から2番目にミザールという名の星があります。こちらは,肉眼でも2つに分かれて見えるといわれている二重星です。
 ミザールは,昔,アラビアでは兵隊の視力検査に利用されていたそうです。あなたの目では,はたして2つの星に見えるでしょうか。明るい方の星はミザール,暗い方の星はアルコルといいます。ミザールは2等星,アルコルは4等星。望遠鏡を使わずに観察可能な二重星ミザール,2つの星に分離できるかどうか,ぜひ挑戦してみてください。
 このミザールとアルコルの2星は,実際には4光年ほど離れています。それだけ離れていると,この2星は見かけの二重星である可能性が高いのですが,お互いの重力を及ぼし合い周回し合ってる連星の可能性も捨てられていません。
 ところがこのミザールの方を望遠鏡の倍率を上げて観察してみると,ミザール自体も2つの星に見えてきます。この2つの星は,それぞれミザールAミザールBと呼ばれている連星です。

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 ところがところが,このミザールAという星が実は連星であることがわかっています。この連星は大きな望遠鏡を使っても見ることはできません。こういう光学的に観察できない二重星を分光連星といいます。驚きはもう一つあります。ミザールBの方も分光連星。すなわち,ミザールは4重連星ということになるんです。
 驚きはまだ続きます。このアルコルも実は分光連星。ミザールとアルコルが,もし連星だとしたら,6個の恒星が回り合っている連星系となります。

 また,春の星空の特長として,『宇宙ののぞき窓』と呼ばれている領域があるということが挙げられます。ここでいう『宇宙』とは,太陽系内にある月や惑星ではなく,天の川銀河(銀河系)内にある星雲や星団でもなく,もっと遙か遙か遠い遠い宇宙のことです。
 春の星空では遠い天体(宇宙)がたくさん見えています。この遠い天体というのは,天の川銀河(銀河系)の外にある銀河ということで系外星雲 (けいがいせいうん)と呼ばれています。
 この系外星雲はものすごく遠くにあるため,暗くて小さいものです。当夜は空が明るめなことと月明かりがあるため,この系外星雲は通常よりも,かなり見えにくい状況にあると考えられます。
 観察は簡単ではないかもしれませんが,せっかくなので,代表的な系外星雲として,おおぐま座のM51を紹介しておきましょう。

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 M51は,大小2つの銀河がつながっているため,子持ち銀河とも呼ばれることもあります。
 写真に写すと,M51の渦巻きの1本の腕の先に,もう一つの小さな銀河(NGC5195)がつながっているような姿がわかります。天体望遠鏡ではそこまで明瞭に見ることは困難ですが,こうした系外星雲は,できるだけ大きな望遠鏡で観察してみてください。大小2つの雲のようなボンヤリが見えたらバッチリです。

 ここまで,いくつか見どころとなる天体を紹介しましたが,春から夏の星空には他にも数多くの『見ておもしろい天体』がいくつかあります。ここに記しているもの以外の天体についても,博物館の担当者が望遠鏡を使って導入,そして紹介してくれると思います。望遠鏡を覗きながら,それがどんな天体なのかぜひ質問してみてください。星は観察するだけでなく,その天体がどんな天体であるかを知ることによって,より興味深く感じることができるようになるものです。
 また,大きな望遠鏡と小さな望遠鏡とでは見え方がかなり違ったりします。レンズを使った屈折望遠鏡と鏡を使った反射望遠鏡とでも,見え方に違いがある場合があります。倍率の違いによる見え方の違いもあります。同じ天体でも,いろいろな望遠鏡,いろいろな倍率で観察して,見え方の違いを味わってみるのもおもしろいと思います。

<注>
 天体(星雲星団)の名称の頭に付く『M』記号について
 フランスの天文学者シャルル・メシエは,数多くの星雲星団を観測してカタログにまとめました。そのカタログに記された110個の天体には,個々にメシエを意味する『M』が付く個別番号が振られていて,一覧化され観測に活用されています。

※HP中の星図,星座絵は,アストロアーツ社製StellaNavigator12で作成しています。
 その他の円形星図,絵図はAdobe Illustratorで作図しています。
 天体画像は,博物館会員が小型の天体望遠鏡で撮影したもので,実際に望遠鏡を覗いたときに見た感じに近いように若干の加工をしてあります。

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