香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
[天文現象] スケジュール:2019/09/13
更新日:2019/09/09
「秋はただ 今夜一夜(こよひひとよ)の 名なりけり 同じ雲居に 月はすめども」 西行法師
年中お月さまは、空に出るけれども、秋の月は、やはり、この日に限る。と、古人が言い切るほど美しい中秋の名月。今年は9月13日になります。秋の澄み切った空に、昇るまん丸な明るい月は、日ごろあまり夜空を見上げる機会の多くない方でさえ、会社帰り足を止めたり、自宅の窓を開けたりして、この月を楽しんでいると思います。星好きならなおさらのこと、中秋の日の月は特別な月としてゆっくり観察したいものです。
すでにご存じの方も多いと思いますが、中秋の名月に関する話題をいくつかご紹介しましょう。
■日付
中秋の名月は毎年日付が変わります。これは、明治時代まで使われていた、いわゆる旧暦の8月15日が中秋の名月の日となるため、太陽を基準にした今のカレンダーでは毎年日付が変わってきます。
■中秋、仲秋
中秋とは、まさに文字通り秋の真ん中のこと。昔は7,8,9月を秋と呼んでいたので、そのど真ん中8/15日が中秋ということになります。一方、仲秋とは、8月全体をさしているようなで、8月の十五夜の月を仲秋の月と書くのは好ましくないようです。
■満月じゃないかも
中秋の名月やそのほかの月の十五夜の月は、新月の日を1日(ついたち)として、そこから数えて15日目を十五夜としています。一方、天文学的な意味での満月は、地球から見て月と太陽が反対方向になった瞬間の月のことを指しています。そのため、十五夜の月と満月の日は必ずしも一致していません。今回は、9月14日13時33分にジャスト満月となります。
中秋の月は満月ではないと知ると、確かめたくなるのが星好きです。望遠鏡をで月のまん丸な輪郭付近を注意深く観察してみてください。もしかすると、輪郭ぎりぎりのところのクレーターにわずかな影を発見できるかもしれません。
■そもそも、なんで名月は秋なの。何が違うの
ずばり、見やすいんです。月の位置が高すぎると、首が痛くなるし、低すぎると林の木々や隣の屋根に隠れてしまうし。月の軌道は夏は低くて、冬は高いんです。えっ太陽とは反対。そうなんです。満月は、必ず、日没と同時に昇ります。と、いうことは、地球を挟んでちょうど反対側の位置にあるため、その高さは夏に低くて、冬に高くなります。また、秋はその中間でちょうど良いということになります。最近は縁側のあるお宅は非常に少なくなりましたが、居間に座って縁側越しにちょうど良い高さ、今時なら、南向きの大きな窓の中にちょうど良い高さに中秋の名月が見ることになるのでしょうか。
じゃあ春は。そう、春も秋と同じく、ちょうどよい高さに月があります。ただ、春の宵と言えば春霞。鮮明な月が出ることが少ないのかもしれません。そのほか、昔は農作業の繁忙期で、ゆっくり夜に月を眺める余裕がなかったのかもしれません。この辺は、諸説ありますので、興味のある方はいろいろ調べてみてください。
図2 満月直前のため、日没とほぼ同時に月が昇る
(月のサイズは拡大表示しています)
図3 香川県さぬき市多和の9月13日午後10時 南の空のようす(ステラナビゲータで作成)
■スーパームーンじゃない
中秋の名月、スーパームーンならどんなに素敵かと、お思いの方も多いと思いますが、実はこの月、小さいんです。翌日の満月は地球から最も遠く、見かけの大きさも最小になります。ただ、がっかりすることはありません。肉眼での観察では最大の月と最小の月の大きさを感じることないはずです。最大と最小の差は1割ほどでが、写真に撮影するなどして比較しないとまずわかりません。ほぼ、最小の月ではありますが、今年の中秋の名月も思う存分お楽しみください。
■月で遊ぶ
たらいや洗面器に水を張り、それに映して月を見る。
さかずきのお酒に月を映して、月を飲む
お月見のお団子、一番上に月を乗せてみる。
五円玉をつまんで、腕をいっぱいに伸ばして、五円玉の穴に月を合わせてみる。
近くの電柱や煙突、ビルや山のてっぺんに月を乗せてみる。
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文中の図2はプラネタリム表示用フリーソフトStellarium 0.19.1を使用しました。 (担当: fuji )
図1と3はステラナビゲータで作成