3/25日、夕刻 6:30ごろの香川県の星空
この時期夕刻になると、しばしば、東の空にUFOがいると、ご連絡をいただくことがあります。この正体は、宵の明星、圧倒的に明るく輝く金星の姿です。金星は、地球と同じように太陽の周りをまわっていますが、今の時期、地球にどんどん近づいてきます。そのため、日に日に明るく、望遠鏡で観察すると、日に日に大きくなる姿が確認できます。
夕刻の空、午後6:30分ごろには、すでにらくらく観察できます。雲や霞が少なく空気が澄んでいれば、夕刻前の青空の中にも金星の姿を探すことができますが、場所を探すのが少し大変かもしれません。
夕刻の空の中に誰が最初に探せるかと、ご家族や、お友達と競争するのも楽しいものです。
さて、
3/25日、宇宙から見た地球、金星、太陽の位置(CGイメージ)
惑星・太陽の大きさは、わかりやすいように拡大強調しています。
地球から観察できる星は、星の数ほどたくさんありますが、月のように満ち欠けする星は、たった二つしかありません。この金星と、太陽に一番近い水星です。
この金星が3/25日には、地球から見て、太陽から一番離れて見えるようになります。この時、望遠鏡で観察すると、金星の姿はちょうど半月の月のような形をしています。これは、ちょうど太陽と地球、金星の宇宙空間での位置が、直角三角形の頂点に配置したようなになるため、地球からは、金星の太陽の当たる面を真横から見ている姿が観察できることになります。このため、金星が半月状に見えるようになります。
この瞬間を金星の最大離隔と言い、以後、地球から見る金星は太陽の方向に近づいていきます。
さて、
最大離隔前の金星 2/28日望遠鏡にて撮影
最大離隔前のため半月状より、ややふっくらした姿に見える
夕刻の金星を、美しい夕焼けの色付きの中に観察するのは、とても楽しいものです。
肉眼での観察に加えて、スマホやコンパクトカメラでこの美しい景を撮影してみるのもよいかもしれません。明るい金星はスマホなどでも比較的きれいに撮影することができるようです。
望遠鏡をお持ちの方は、ぜひ、この半月状の金星を望遠鏡のレンズの中で観察してみてください。
明るい金星は、望遠鏡のレンズの中でも見つけやすいため、望遠鏡操作の練習にも最適です。何より、この半月状の金星を目の当たりにすることは大きな感動があります。
望遠鏡での観察は望遠鏡の操作に慣れたベテランの方をのぞき、必ず太陽が沈んでから行うようにしてください。夕刻の柔らかく見える太陽光線も、望遠鏡のレンズを通すと非常に強力で危険です。万一、望遠鏡の視界の中に太陽光線が入ると、あっけなく失明するなどの大事故になります。特にお子様だけでの観察はされないよう、保護者の方はくれぐれもご注意ください。
★最大離隔
水星または金星が地球から見て太陽から一番離れる瞬間を最大離隔と言います。
夕刻の西の空では、東方最大離隔になり、夜明け前の東の空では西方最大離隔になります。
東西が反対で、ちょっと不思議に思いますが、これは、水星、金星が太陽のどちら側にあるかを示していること理解すると違和感がなくなります。
文中の図表は
プラネタリム表示用フリーソフトStellarium 0.19.1
国立天文台宇宙シミレーションソフトMitaka1.6.0により作成しました。
文章と図表作成、写真撮影は fuji_san ( fuji )