香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
星図を見ながらこの大きな目盛り環を使って導入してみたいものです。
モータードライブは構造がシンプルなので修復可能と考えています。
本望遠鏡引き取りの経過紹介
2015年3月、香川県立坂出高校の校長先生から、香川大学教育学部松村教授(天文学)に、「耐震化診断により取り壊しになる校舎屋上天文ドーム内の反射望遠鏡と、部活動で使用していた古い望遠鏡が保存する価値のあるものかどうか判断してもらいたい」という連絡がありました。 松村教授の判断により、天体望遠鏡博物館が紹介され、今回の保存活動につながりました。
2015年3月23日、引き取り作業の事前調査に伺いました。
4階建て校舎屋上にドームがあります。
西村製作所製 20㎝反射赤道儀です。かなり長い間、使用されていない様子です。
ドームスリットに傷みがありますので、スリットからの搬出は危険と判断しました。
NO 3729 FL1545の刻印があります
ドーム内は高床式になっています。
出入り口は狭いですが、搬出はここから行うことにしました。
ドームの高床の下に保管していたミザールカイザーです。
ミザールAR型8㎝屈折赤道儀(理科準備室)
ビクセン SP型8㎝屈折赤道儀(理科準備室)
Kenko スンーカイメモQ(理科準備室)
揃えている望遠鏡から天体写真撮影にも取り組んでいたことが推察されます。
おそらく1970年後半から1980年前半に熱心な天文部員が在籍していたのでしょう。
これらの小型望遠鏡は、20㎝反射赤道儀の引き取り作業前に搬出を行いました。
2015年4月5日 西村製作所製20㎝反射赤道儀の引き取りを行いました。
校舎4階屋上の右にドームが見えています。
鏡筒を外した後、モータードライブシャフトを外しています。
赤道儀を外します。
架台をベースプレートから外します。事前にCRC556をスプレーしていたのでさび付いていたボルトが回りやすくなっていました。
ベースプレートはアンカーボルトを取り外しても、周りがコンクリートで固められており取り外せませんでした。校舎取り壊しの際に、業者さんに打撃ハンマーなどを使って取り外してもらえるよう依頼することになりました。
ドームから搬出して平台車に載せます。
取り外したパーツを階段室に集めました。
まず、簡易清掃を行います。
鏡筒
赤道儀
架台(4階からだと、だんだんと重みを感じるようになります)
サブスコープとウエイト
ウエイト
雨が降り出す前に作業を終えることができました。
2015年4月5日 坂出高校から引き取った20㎝反射赤道儀を天体望遠鏡博物館に搬入しました。
主鏡の製作者と状態確認のため、セルから取り外すことにしました。
裏面に鉛筆で 香川 坂出 と書かれています。
Kyoto Nishimura fl=1545㎜ の刻印
No 106 T Kamei June 1962 の刻印
メッキ面は輝きがありません。
汚れなのか、メッキ劣化なのか判断するために洗浄することにしました。
ぬるま湯で、汚れを落とします。
汚れは落ちましたが、輝きはありません。
ガラス裏面の指が、劣化したメッキ面から透けて見えます。
再メッキが必要ということが明確になりました。
斜鏡の状態を確認するため取り外しています。
こちらも再メッキが必要です。
本格的な修復が必要なことがわかりましたので、赤道儀を含めた修復計画を検討することになりました。
今回は望遠鏡の他にも、実験器具やろくろ、黒板用定規などを戴きました。
ドーム内にあった椅子です。
20㎝反射を展示するときにいっしょに設置する予定です。
坂出高校 天文部OBのみなさん、あなたが座っていた椅子かもしれませんよ!
2015年8月、2016年3月天体望遠鏡博物館開館にむけて西村製20㎝反射望遠鏡の20㎝主鏡と斜鏡の再蒸着をヨシカワ光器研究所さんに依頼して行いました。
左:口径20㎝放物面主鏡 左:平面斜鏡
セルはつや消し塗装されています
うつくしい再蒸着が行われています
斜鏡も美しく仕上がりました。
2020年10月22日 メンテナンスを完了させたミザールAR-80R屈折赤道儀を坂出高校 自然科学部にお渡し致しました。