香川県さぬき市多和助光東30-1(旧 多和小学校)
2014年12月5日に天理市の松田秀樹様より、京都大学花山天文台で小惑星、彗星などを研究されていた故三谷哲康氏が所有されていた屈折望遠鏡を頂きました。
この望遠鏡は、口径12㎝双眼鏡のレンズを流用し製作されています。製造年については現在、調査中ですが、関勉先生が1954年8月30日に花山天文台でこの望遠鏡を見たとの情報があるとのことですので少なくともそれ以前に製作されていたものと思われます。また(株)西村製作所様に、この望遠鏡のラフスケッチを記録したノートがあることから同所で組み上げたものと思われます。
松田様は、天文雑誌2000年3月号の「譲るコーナー」にて三谷氏から譲って頂いたとのことで、そのやり取りについての郵便物も残されており、資料的にも貴重なものです。
ただ、双眼鏡レンズの流用ということで、像は甘く氏も苦労されていたらしく、細かく内径が違うたくさんの対物用絞り環が付属されておりました。松田様も作られております。
特筆すべきは、特注されたと思われる対物プリズムが付属されていたことです。彗星には特有のスペクトルが観察される場合が多く、それを観察されたかったと思いますが、実用されていたかは不明です。
花山天文台では、戦中戦後にかけたくさんの小惑星などの写真記録を残されている三谷氏ですので、氏が個人用として作られたものと思われます。
<三谷哲康氏>
1927年島根県生まれ。1944年京都大学生駒山太陽観測所を経て、1946年花山天文台にて、多くの小惑星、彗星を観測されました。特に1954年、本田-Mrkos-Pajdusakova彗星の回帰の検出は世界的に有名です。戦中、戦後の大変厳しい時代に、貧しい観測機材で多くの業績をあがられた努力は現在でも賞賛されております。
2004年77歳でご逝去されました。